Windows8発売で「風が吹けば桶屋が」的に儲かる株
マイクロソフトの次期主力OS「Windows8」。かつては、Windowsの最新版が登場するとなると、量販店店頭には長打の列ができ賑わったのはもちろん、IT関連銘柄が上昇するなどマーケットに大きな影響を与えていたが、Windows8登場で、恩恵を受ける株、受けない株にはどんなものがあるのだろうか?
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◆クラウド関連は追い風。パソコン主力は厳しい
「部品メーカーや周辺機器メーカーは恩恵を受けられるでしょう。特に、タッチ操作に対応した新型マウスを開発したエレコムや、ペンタブレットを手掛けるワコムなどの周辺機器メーカーは、タッチ操作に対応していない液晶を使っているユーザーがまだまだ多いことから、タッチ操作が特徴の新OS発売の恩恵を受けられると見ています」(アナリストの小川佳紀氏)
「Windows8に限りませんが、こうしたデジタルデバイスが増えることで、IIJやコムチュア、システムインテグレーション、エイジアなど、今年上方修正が相次ぐクラウド関連株には、さらに追い風が吹くでしょう」(『兜町カタリスト』編集長の櫻井英明氏)
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クラウド関連、特にユーザーのデータを預かるデータセンター関連株は、東日本大震災やSNSサービス増加の影響で注目が集まっている。
「クラウド関連でいえば、GMOインターネットが日本マイクロソフトと提携し、クラウド上でWindows用アプリケーションを開発できるサービスをスタート。開発環境をクラウドにすることで、MacからでもWindows用のアプリを開発できるようになりました。App StoreやGoogle Playに対抗すべくコンテンツ配信サイト『WindowsStore』を本格的にスタートさせるマイクロソフトにとって、アプリの品ぞろえ強化は必須です」(小川氏)
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一方では、こんな株にも注目が集まっている。
「パソコンに加えてスマホやタブレット端末など、液晶を長時間凝視する端末が増えたことで、目の疲労や視力低下に悩む人が増えることから、JINS、メガネスーパー、SEEDなどメガネやコンタクトを扱う株や目薬を扱う株が好調です」(櫻井氏)
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「風が吹けば桶屋が儲かる」という古い相場の格言どおり、マーケットは連想しているというわけだ。逆に、恩恵を受けない株では……。
「米パソコン大手HPの業績見通しが厳しいことからも、Windows8登場で悪くなることはないにしろ、パソコンメーカーの業績が急激によくなることもないでしょう。日本では、ソニーや東芝などが、対応するタブレット端末を発表していますが、業績への影響は未知数です」(小川氏)
「量販店店頭で現物をチェックし、ネットで最安値を探して買うという消費行動が定着している昨今では、ヤマダ電機などの量販店の業績への影響も、それほど大きくないと見ています」(櫻井氏)
また部品メーカーについても、自社製品が採用されている間はいいが、アップルのように端末ごとに部品の調達先を頻繁に替える傾向にあるメーカーもあるため、自社製品が採用されているという情報を我々が手にするころには、すでに取引がないということもあるので注意が必要だ。Windows8は今月26日に発売される。
【櫻井英明氏】
ストックウェザー『兜町カタリスト』編集長。日興證券、ネット証券、『株式新聞Weekly』編集長を経て’08年7月から現職
【小川佳紀氏】
フィスコ株式リサーチ部アナリスト。中堅証券会社を経て現職。中小型株や新興市場株の分析から、為替相場まで幅広く担当する
取材・文/宏志(本誌) 図版/ミューズグラフィック
― Windows8発売で恩恵を受ける株受けない株【2】 ―
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