F1全戦取材の2人が分析した小林可夢威の残留問題
―[小林可夢偉のなんでやねん!]―
鈴鹿で3位表彰台に立った小林可夢偉。そんな余韻にひたっている日本のF1ファンに冷水を浴びせるようなニュースが飛び込んできた。小林可夢偉のチーム残留が厳しいというのだ。そんな状況を全戦取材するF1メディアの2人はどう見ているのか?
◆全戦取材するF1メディアの2人が太鼓判!? F1残留の可能性は?
【F1ライター米家峰起】
可夢偉は、お金を持ち込まなければ乗ることができないF1なら乗らなくてもいいというスタンス。だから当の可夢偉もマネジャーもバタバタしている様子がない。自分ではどうもできないことは悩んでも仕方がないということでしょう。
ザウバーは、テルメックスとの契約が切れる2014年以降の予算確保をにらみ、さまざまな選択肢を吟味している段階。テルメックスとの契約破棄と違約金獲得も含め、可夢偉のチーム残留はほかの選択肢次第といったところでしょう。
チームは可夢偉の能力を高く評価しているし、モニシャも個人的には残留させたいはず。しかしチームの財政基盤を安定させることのほうが優先ですから、やむを得ない選択もある。可夢偉サイドとしてはそれも理解したうえで、F1残留に向けて自信を持っている。F1残留の可能性は90%。(談)
【F1マルチジャーナリスト尾張正博】
チームは可夢偉のパフォーマンスはもちろん、開発能力を高く評価している。トップと戦える今年のクルマは、開発責任者だったジェームス・キー(現トロロッソ)と可夢偉が中心となって作った。そのキーは開幕直前にチームを離脱し、そのうえ可夢偉まで手放すのは勇気がいる決断だと思う。
F1興行を取り仕切るバーニー・エクレストンは、欧州以外のマーケットも重視している。たとえばHRTがインド人を乗せているように、ザウバーにも日本人の可夢偉を乗せてもらいたいのではないだろうか。それでも可夢偉がザウバーに残留できなかったら、それは日本企業がサポートしなかった結果であり、ザウバーの台所事情が相当厳しかったと判断するしかない。ただし、ザウバー以外のチームに乗る可能性はまだ残されている。F1残留の可能性は90%。(談)
◆可夢偉シート関連語録
小誌9月4日号掲載用インタビューで「万が一、F1のシートを失うことになったら?」の質問に答えて
『なにしたらええんやろ?釣り人かな(笑)』
(未掲載箇所。F1夏休み期間中に2回釣りに行ったことから出た冗談)
英BBCラジオのリポーターに「It might be my lastchance to impress here in Japan.」と言ったと報道された件について
『「鈴鹿で表彰台のチャンスがあるのは、ひょっとしたら最初で最後かもしれない」ってジョークを言ったら、僕のキャリアが今年で終わるみたいな受け取り方をされた。相手の思い込みですよ』
(10月7日F1日本GPレース後のグループインタビュー)
「3位表彰台は自身のキャリアにとって、どんな意味がある?」と質問されて
『まあ、思い出ですね』
(10月7日F1日本GPレース後のグループインタビュー)
10月11日F1韓国GPで海外メディア向けグループインタビューで
『スポンサーがあればザウバー残留の大きな助けになると思う。でも今のところチームに留まるためのスポンサーがない』
(10月11日付 英AUTOSPORT.com)
同。「自分より才能は劣るが強力なスポンサーを持つドライバーにシートを奪われる可能性」について
『そうなれば、それが運命なんじゃない?』
(10月11日付 英AUTOSPORT.com)
取材・文/SPA!可夢偉応援団 写真/Sauber MOBILITYLAND Force India
― F1小林可夢威がチーム残留のためにできるたった一つ対抗手段【2】 ― ハッシュタグ