F1小林可夢威がチーム残留のためにできるたった一つの対抗手段
―[小林可夢偉のなんでやねん!]―
来年の鈴鹿に可夢偉がいない?
2012年秋の日本GP。F1参戦55戦目でついに可夢偉が自身初の表彰台をつかみ取り、鈴鹿は10万人の大観衆から期せずして起こった「カムイ!」絶叫コールに包まれた。
今季いずれも下位グリッドからギャンブル的作戦とコンディション変化がハマって、3回表彰台に立ったチームメートのセルジオ・ペレスとは違い、可夢偉は3番手スタートからマクラーレンのバトンとの真っ向勝負を制して射止めた3位表彰台。まったく価値が違う。
しかし、鈴鹿の余韻にひたっている日本のF1ファンに冷水を浴びせるようなニュースが飛び込んできた。
◆可夢偉のチーム残留はなぜ難しいのか?
表彰台獲得とペレスの来季マクラーレン移籍で可夢偉のザウバー残留ムード濃厚と思いきや、日本GP直後から連日のように欧州F1ニュースサイトで「可夢偉の来季シート危うし」の見出しが躍っている。
その記事を出典も明記せず、ただ日本語に訳して国内のF1ニュースサイトが垂れ流す。さらに、Yahoo!のトップニュースのひとつに挙げられるから、ネガティブな情報ばかりが先行して、日本のF1ファンはやきもきした日々を過ごしている。
可夢偉の来季はどうなる?
「ザウバーのシートが安泰ではないことは確かです。彼のパフォーマンスには何の疑問符もないけれど、チームの財政状況のほうが大きな問題。可夢偉のライバルがどれくらいお金を持ってくるかに左右される状況」(F1チーム関係者)
現在、ザウバーは、ペレスの加入と同時に母国メキシコ通信大手テルメックスといくつかのメキシコ企業からスポンサードを受けている。
一方、可夢偉は個人スポンサー2社以外、日本企業のサポートはなく、チームに持ち込んでいるスポンサーはゼロの状態。
「テルメックスとは来季まで契約がありますが、ペレスが乗る場合と乗らない場合とではおそらく金額が違う。ほかのメキシコ企業が来年も継続して支援してくれるかも不透明。ペレスとともにマクラーレンに行ってしまうかもしれない。いずれにしろスポンサーフィーが目減りするので、ザウバーとしてはそれを補うスポンサーを持ち込むドライバーを優先する可能性が高い」(同)
ペレスの代わりは同じメキシコ人で現ザウバーのリザーブドライバー、エステバン・グティエレスの昇格が確実視され、残り1席を可夢偉とライバルドライバーが争っている。
「最大のライバルがフォースインディアのニコ・ヒュルケンベルグ。彼はフェラーリのマッサ(来年の残留決定)の後任として、すでにフェラーリとなんらかの契約を結んでいたと言われる。そこでフェラーリは、年間10億円ほどかかかるエンジン代(+KERS+ギアボックス)を無料にし、さらにドライバーへの払いもウチで持つからという条件でザウバーにレンタル移籍させようとしている」(F1関係者)
日本企業のサポートを期待できない可夢偉に対抗手段はあるのか?
ひとつだけあると言われている。
韓国GP終了時点で、ザウバーのチームランキングは5位のメルセデスと20ポイント差の6位。この順位によって、F1主催者から支払われるチームへの分配金(TV放映権料など)が大きく変わってくるという。
「5位と6位では、おおよそ8億円くらいは違ってくるはず。可夢偉としてはメルセデスを逆転する活躍をして、交渉の材料に使うしかないかもしれない」(同)
鈴鹿では表彰台に立つ。
かねてからこう宣言して達成した可夢偉。鈴鹿での決勝レース後には「メルセデスを逆転したい。残り一戦一戦、チーム一丸となって頑張れば可能だと思う」と語った。
残り4戦、我らが有言実行男を応援したい!
<取材・文/SPA!可夢偉応援団 写真/Sauber MOBILITYLAND Force India>
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