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中国発「スマホ改造工場」に潜入!

中国 中国随一の電気街といわれる広東省深セン市内にある華強北路。ここでは、香港からハンドキャリーで持ち込まれたiPhoneやGalaxyなど最新スマホから、「山寨」と呼ばれるパクリ製品に至るまで、ありとあらゆる携帯やタブレットなどのガジェットが売られている。

 そんな「中国の秋葉原」ともいえる電気街の雑居ビルに、 ハンダが焦げる臭いが充満する、怪しい一角がある。そこには5畳ほどのブースが通路を挟み、20~30軒ほどの店が連なっているではないか。内部では、20歳そこそこの男女が壁に沿って作られた作業台に向かってギュウギュウ詰めになって座り、何やら作業に没頭している。彼らの手元に見えるのは、ハンダごてと外装をはずされて基盤が露出したスマホやタブレット端末だ。客から預かったスマホをバラバラに分解しているすぐ横では、休憩中の工員がやたら脂っこそうな弁当をむさぼっている。

 そう、ここは携帯電話の修理と改造を行う、小規模の修理店が軒を連ねるエリアなのだ。ここでは、水没した携帯電話の修理から、セキュリティなどの理由によってメーカーによって制限された機能を有効化させる「脱獄」、さらにSIMロック外しまで、わずか数百円といった料金で引き受けてくれるのだ。華強北路には、こうした店が各所に存在するが、中でも「遠望数碼商場」というビルには、冒頭に紹介したように、1階に数十軒の修理店が並んでいる。

⇒修理店の様子【画像】はコチラ
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=335306


 狭い通路を通ると、ひっきりなしに軒先の’営業担当”が声をかけてくる。

「メーカー非公認のファームウェアアップデートも可能だよ。お好みであれば、iPhoneのボディにアンドロイドを搭載させ、世界に唯一のスマホを作ることだって可能さ」

「iPhoneの外装交換1300円、SIMロック解除は650円、Galaxy NoteやXperiaの液晶交換も激安でやるよ!」

 ドラゴンガジェット取材班は、ここで試しに修理をお願いすることにした。SIMカードを差し込む部分の端子が壊れたNokiaの携帯だ。ある店に入ると、やる気のない女性店員が記者の手から端末を奪い、くわえタバコの青年に渡した。青年は壊れた部分を一瞥し、鋭い眼光でこう言い放った。

「50元(約650円)だな。どうだ?」

 値切るのも面倒くさいので、言い値で修理をお願いすることにした。予想外に安いと思ったからだ。実は、事前に日本で修理業者に見積りをとったところ「1万5000円、修理期間1か月」という返答だったのだ。しかも、ここでは「急ぎだ」と店員に言うと、すぐにやってくれる。こうして約10分後、修理は完了。お金を渡す前にSIMカードを挿入して電源を入れると、見事に直っていたのだった。

⇒修理後【画像】はコチラ
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=336318


修理に成功した携帯。SIMを差し込む部分の部品を交換したようだ

 華強北路では、スマホや携帯を激安で修理できる。しかし、トラブルも多いようだ。深セン市内に住む日本人留学生は言う。

「このあたりの修理店は『黒店』、つまり悪質店が多いことで有名。典型的なのは預かった携帯の部品を勝手に非純正品に交換してしまうこと。例えばiPhoneで壊れた液晶の修理をお願いすると、中のバッテリーや基盤の一部を盗み、安価で劣悪な代替品に替えてしまうのです。だから、みんな修理をその場でやってもらい、30分でも1時間でも立って見張りながら待つ人が多いんです。また、修理前は安い値段を提示しておいて、修理後に高額の値段をふっかけるボッタくりの例も多い。中国人でさえこうした被害に遭っているので、交渉力に自信がなければ、ここで修理するのはお勧めできまん」

 深セン市内でスマホ周辺機器の買い付けをしている日本人に聞くと、ここには日本で販売されているスマホも数多く持ち込まれているとのこと。そして、残債があるまま転売されたものや盗難品などの「闇端末」も多いと言う。盗難品であろうと、中の基盤さえ替えてしまえば、個体識別番号も変わってしまうので、マネーロンダリングならぬ「スマホロンダリング」が可能というわけだ。

 世界最大のスマホ市場である中国には、我々の想像をはるかに超える関連ビジネスが活況を呈しているようだ。

【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部
ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)




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