萌え寺誕生秘話「もっとお寺のことを知ってもらいたかった」
―[萌え寺入門]―
境内に不釣り合いな“萌え看板”を設置し、一躍注目を集めたお寺が東京都八王子市にある。看板から始まり、ついにはソーシャルゲームもリリースした、萌え寺の魅力を追った!
◆マジで萌えるお寺の進化が止まらない!!
’09年に、入り口に設置した“萌え看板”により、日本だけでなく、世界にも知られるようになった松栄山・了法寺。その人気は衰えることなく、’12年11月にはソーシャルゲームが登場。配信から約10日で、5万ダウンロードを突破するなど、いまなお多くのファンに愛されている。ただ、お寺の住職である中里勝孝氏は、看板のイラストを描いたクリエイター・とろ美さんの作品を初めて見たとき、「正直、固まりました(笑)」と当時を振り返る。
「そもそもあの看板は、お寺が通りから奥まったところにあり、地元の方にも知られていなかったので、もっとお寺のことを知ってもらうために作ろうと考えました。ただ、境内にある看板は文字ばかりで、興味のある方しか読まないことが多い。私自身、どういった看板を作れば多くの人の目に留まるのかまったくわからなかったので、三井さんに相談したんです」
中里氏の友人である三井一仁氏は、ステージや展示会のブースのデザイン、看板などの立体展示物を手がけるデザイナーだ。彼は、中里氏から看板の話を聞いたとき、「最初から萌えの要素を取り入れようとは思わなかった」という。
「普通の看板を作っても、誰にも見てもらえないだろうとは思っていたので、とにかく、思わず見てしまう看板にしたいなと。そこで若い人からお年寄りにまで愛される看板にできたらいいなと思い、漫画的にしようと考えました」
その後、三井氏は漫画家のリサーチを開始。偶然目にした雑誌に、以前から曲を聴いていた、とろ美さんの漫画を発見し、彼女のイラストを住職に見せたというわけだ。
「ただ、イラストを見せたら余計悩んじゃって。周囲に止めてもらいたかったみたいですが、反対されなかったそうです」(三井氏)
「イラストを見てかわいらしいとは思ったんですが、内心恥ずかしさもあって。それで周囲に相談したのですが、『かわいいじゃないか』と好評で。神様におみくじでお伺いを立てたところ、大吉が出まして、ぜひやりなさいということでしたので、お願いすることにしました」(中里氏)
【中里勝孝住職】
松栄山・了法寺の31代目の住職。もともと萌え文化には疎かったそうが、最近では参拝者に教えてもらい、多少詳しくなったそうだ
【とろ美さん】
声優、歌手、イラストレーター、漫画家、ラジオパーソナリティとして活躍。詳細はhttp://toromi.ciao.jp/
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