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遡上する禁漁魚を狙う「素人密漁者」の狼藉

利根大堰の密漁監視員

利根大堰では周年でサケの採捕を禁止。また、同地から上流160m下流200mは全魚種採捕も禁止だが、密猟者が後を絶たないと監視員も困り顔

 東京都と千葉県の間に位置する旧江戸川の篠崎水門。ここでは毎年春を迎えると、孵化して間もないアユの子ども(稚アユ)が遡上するため、近隣では有名な釣り場となっている。稚アユに関しては資源保護のために禁漁期間や採取可能なサイズの規制があり、違反者は密漁として逮捕されることもある。

 しかし、毎年3月ごろになると、禁漁期間中にもかかわらず数百人という釣り人が押しかける。当然、稚アユ狙いの者も少なくない。長年ここに通う釣り人に話を聞くと、「(遡上の時期は)一時間でバケツ一杯は当たり前だね。入れ食い状態で網でもすくえる。引っかかった稚アユを使えばシーバス用の生餌になる」と、得意げに語った。

 また、同地では過去に釣り針が通行人を直撃するという凄惨な事故も起きたという。

「ここはギャング針(使用禁止の針先が複数付いた釣り具)を使うヤツも多くて、振り上げたら近くにいた子どもの顔を直撃したんだよ。道路が血だらけになって、警察呼んだり大騒ぎだった」(釣り人)

ギャング針 禁止

篠崎水門に貼られる「ギャング針事故」についての注意文

 事故の影響だろうか、橋の欄干には、橋の上からの釣りに対して注意を促す貼り紙も多数あった。

 千葉県と東京都ではシーズン中のパトロールを実地しているが、あまりの釣り人の多さに監視も追いつかないという。加えて、水門全体を管理している国土交通省の江戸川河口出張所では、「取り締まる権限がないので、安全面上の立ち入り禁止柵や注意に限られてしまう」とか。事実上放置とも言えるこの状況も、密漁者をのさばらせる大きな要因だ。

 また、埼玉県と群馬県にまたがる利根大堰では昨年、鮭の遡上数が過去最多の1万5889匹にものぼった。

 実は利根川は鮭の遡上の南限とされ、地元団体の放流活動などもあって、その数は年々右肩上がりなのだ。しかし、その結果に誰よりも喜んでいるのは密漁者たちかもしれない。

 同地で10年近く監視活動を行う、埼玉九号地区運営委員会の代表・江守和枝さんはこう話す。

「鮭は通年禁漁なのですが、遡上時期(10月~12月)になると一日に10組前後の密漁者が出ます。最近では、『お腹が減っているので鮭を食べたい』という外国人や、密漁だと知っていても平気で釣りをする家族連れもいるんです」

 渓流釣りの餌用にイクラだけ抜き取る釣り人も多く、河川の至るところに腹を裂かれたサケの死骸が浮かんでいることもあるという。

「過去には注意した監視員を川に投げ飛ばすなど悪質な事例も。最近では活動が実ってか、ようやく数は少なくなってきましたが……」

 今年もこの蛮行が繰り返されるのか……。

 1/29発売の週刊SPA!「海で!川で![素人密漁者]が大暴れ」では、カジュアルな気持ちで禁漁とされている魚介類の採捕や立ち入り禁止区域に入る不法な釣り人の実態についてリポートしている。 <文/週刊SPA!編集部>

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