窃盗の記事で「100円相当」等いちいち金額を書く理由
「むしゃくしゃしてやった」「ムラムラしてやった」など、事件報道には日常ではあまり使わない特有のフレーズがある。ほかにも「バールのようなもの」とか「みだらな行為」とか、気になる言い回しがいろいろ。そんな事件報道における定番用語のナゾに迫る!
◆Q.窃盗などで「○○円相当」といちいち値段を書く意味は?
「金額は警察側の発表文に書かれていることが多い。同じ窃盗でも100円と1億円ではニュースバリューが全然違いますから、そこは記者も必ず押さえるし、読者のニーズもあるかと」(全国紙の地方支局勤務の記者A氏)
でも、下着泥棒の記事で「パンツ1枚(300円相当)」とか、その金額は意味ないっすよね?
「執筆した記者が条件反射的に書いちゃっただけでは(笑)。確かに窃盗などでは基本的に金額を書くようにしていますが、それが画一的に適用されてしまったおかしな例でしょう」(全国紙で社会部経験の長い記者B氏)
警察は被害者からの申告、専門家や取扱店(車なら中古車屋など)に相場を聞くなどして被害額を算出しているらしいが、必ずしも公表するわけではないそう。
「たとえば個人宅で『被害額は3000万円』なんて発表したら、“そんな大金あったのか”となって被害者に迷惑がかかりかねない。ただ、窃盗ぐらいじゃなかなか記事にならないんですが、警察としては記事にしてもらいたい。なぜなら注意喚起に加えて警察の仕事の広報にもなるので。だから余罪が300件なんて場合は、あえて全部の事件の被害総額を公表したりする。大きな金額になれば載りやすいですから」(主に被疑者の取り調べを担当していた元刑事の小川泰平氏)
記事になるか否かもカネ次第!?
◆A.警察の資料に書いてあるし、読者の興味も引くから
イラスト/カネシゲタカシ
― 事件報道の[ありがち用語]ウラ読み辞典【7】 ―
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