雑学

性犯罪を「いたずら」とボカすのは是か非か

「むしゃくしゃしてやった」「ムラムラしてやった」など、事件報道には日常ではあまり使わない特有のフレーズがある。ほかにも「バールのようなもの」とか「みだらな行為」とか、気になる言い回しがいろいろ。そんな事件報道における定番用語のナゾに迫る!

◆「いたずら」「暴行」など性犯罪をボカした表現にする理由は?

性犯罪 性犯罪の記事でよくあるのが「少女にいたずら」「女性に暴行」といったフレーズ。犯罪の実態に合ってないと思うんだけど、何でこんなボカした表現を使うのか。

「『いたずら』は、報道機関によって使うところと使わないところがある。前者は『被害者の立場に立った場合、強制わいせつや強姦というのはキツい。ボカした表現のほうがよい』。後者は『いたずらという表現は些細な事件との印象を与える。性犯罪は重大な事案であり、きちんと書くべき』との考えですね」(全国紙の地方支局勤務の記者A氏)

 うーん、被害者も人によって感じ方違うだろうし、どっちも一理あるような……。が、主に被疑者の取り調べを担当していた元刑事の小川泰平氏によれば「強姦事件については『女性を暴行した疑い』などと発表する。『女性』というのも省くことがあるし、事件現場が住居だったりすると周辺の人には被害者が特定されてしまうので、その場合は『暴行』というのも発表しません。殺人事件で被害者が強姦されている場合など、記者にも『書くなよ』と釘を刺す。被害者のプライバシーが第一です」とのこと。つまり、「暴行」というボカし表現のルーツは警察発表だったのだ。

「やっぱり『強姦』というのが字面的にキツいというのはありますね。刑法では強姦と暴行はまったく別なのに、わざと混同するような言い方をしてる。昔は『婦女暴行の疑い』なんて書いていた。婦女暴行罪なんて刑法にはないんですけどね」(全国紙で社会部経験の長い記者B氏)

 さらに最近は「乱暴」という表現も出てきているという。

「暴行罪との混同が生じないという点ではいいと思うんですけど、やっぱり曖昧ですよね。だから今は最初に罪名はちゃんと書いて、あとは『乱暴』を使うというのが結構多いパターンかな」(同)

 いい悪いは別にして、いかにも日本的な表現とは言えそうだ。

― 事件報道の[ありがち用語]ウラ読み辞典【6】 ―




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