スポーツ

ライオンズヲタの聖地「春野の二軍キャンプ」勝手に帯同リポート

 年間60試合も球場へ足を運んで生観戦する野球ヲタクのマリオ高野です。プロ野球は各チームとも春季キャンプ終盤。宮崎県や沖縄県などからは一軍キャンプの模様が連日報道されていますが、二軍のキャンプについては極端に情報が少ないものですね。そこで今回は、マニアックな情報を求めるコアなプロ野球ファン向けの情報をお伝えするため、埼玉西武ライオンズの選手(B班)が春季キャンプを実施している高知県の春野運動公園野球場へ行ってきました。

 西武ライオンズは球団発足当初から春野でキャンプを行っており、あの清原和博氏ら黄金時代の選手たちも汗を流した伝統のある土地なので、地味ながら、ライオンズヲタとしては憧れの聖地のひとつともいえます。

 現場での練習開始は9時半の予定ですが、何人かの選手は朝8時の時点ですでに「アーリーワーク」と呼ばれる“練習前の練習”を行い、一部の野手は朝イチからまずバッティング練習から始めていました。新人選手や他チームから移籍してきた選手は「いきなりバッティングから始める」スタイルに驚くそうですが、これは近代ライオンズの選手が積極的に行っている練習法のひとつで、打つために必要な筋力は朝から打つことで鍛えるという考えに基づいたものです。その日は、2年目の田代選手と今年の育成枠の新人、水口大地選手がバッティング練習をしていました。

 大柄でガタイの良い野球選手たちの中で、ひときわ小さい姿が逆に良く目立つのが水口大地選手です。独立リーグの四国アイランドリーグ出身の23歳で、身長は165cmで体重は65kg。なんと、この貧相なマリオ高野とまったく同じという、プロ野球選手としては希有な体格の持ち主であり、しかも誕生日もマリオに近い6月28日ということで、一方的に猛烈な親近感を抱くようになりました。なので今回は、水口大地選手を中心にキャンプを追いかけました。

⇒【画像】水口選手ほかの練習風景
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=392364


 水口選手は、その小柄な体躯から想像されるように、足と守備力を武器とした選手です。シートノックでは、ショートの守備位置で予想以上に軽快な動きを見せていました。一軍ではメジャーへ移籍した中島裕之選手の後釜を巡ってショートのポジション争いが白熱していますが、守備だけなら一軍での競争にも参加できると思わせてくれる動きです。足が速いことに加えて打球に反応する第一歩が早く、しかも肩が強いので守備範囲が広いのです。本人によると、ショートは高校時代から守っているそうですが、子供の頃から外野手やピッチャーなど、ファーストとキャッチャー以外のポジションはすべて経験したらしいので、守備に関してはチーム事情に合わせてどこでも守れるフレキシブルさも備えているといえるでしょう。練習試合では、投手や他の内野手に積極的に声をかけるなど、少なくとも「独立リーグからプロに入ったばかりでビビったり戸惑ったりしている」様子は皆無でした。今のライオンズの若手選手の中では、メンタルも強いほうであると推察できます。

 足のほうは、自ら「目標は盗塁王!」と宣言するだけあって、相当自信を持っているようです。ライオンズに入る前から憧れの選手は片岡選手とのことですが、小さな身体を目一杯使い切って走るその姿は、どちらかというと元阪急の福本豊氏のように見えました。練習試合でも、いくつか盗塁を決めています。

 小柄とはいえ、守備と足では誰が見てもセンスの良さが実感できる選手ながら、今までドラフトにかからなかったのは、おそらく打撃面での課題が多過ぎるせいであると推察。四国リーグ時代の打撃成績を見ても、正直並み以下の数字です。実際に打撃練習を見ると、たしかに打撃はまだまだという雰囲気が……。

 しかし、水口選手の打撃は実戦になるとガラッと変わるタイプでした。まず、打席に入る時のルーティーンに「雰囲気」があります。野球ド素人のマリオですが、プロ野球は30年以上見てきたので、打てる選手は打席の雰囲気でわかります。実際、韓国チームとの初の練習試合では3安打の長短打を放ち、阪神の二軍との練習試合では1安打ながら痛烈な打球を放っていました。巧打者らしくジックリ見極めて打つタイプのようで、追い込まれてもボールくさい球を体制を崩されながらカットする技術も持っているようです。阪神の左の若手、島本投手の前には見逃し三振に倒れてしまうなど、対左投手に課題があるようですが、打撃もイケル!という感じです。

 本人に打撃についてのことを聞いても、「打撃はボチボチです。それよりも守備や足でアピールを……」という消極的な答えではなく、「打つのが一番好きですね! 今は打つのが一番楽しいです!」と、実にハツラツとした答えが返ってくるじゃありませんか! 練習試合も3試合目になると、打順は9番から2番に上がっていたので、首脳陣の評価もまずまずのようです。ケガさえなければ、育成選手から支配下登録選手への昇格もそう遠くないと確信しました。

 プロに入って1.5か月目の心境を尋ねると、「練習が厳しいのは覚悟していましたが、球の捕り方から何から何まで、基本動作の面で初めて教わることが多くて驚きました。でも、今はそれがオモシロくてたまりません!」とのこと。高卒選手ならともかく、23歳まで野球漬けの日々を送っていた人でも、プロに入ると基本から教わるものなのですね。

「たいへん失礼ながら、低身長の野球選手は私(マリオ)のような低身長男の希望の星でもあるので、そこも意識しつつ、低身長でも一流選手になれる!ってことを証明してください!」と伝えると、「了解しております!」と即答してくれました。 今後が猛烈に楽しみな新人選手です。低身長の野球ヲタの皆さんは、特に注目しましょう!

 ところで、春野ではライオンズの大エースであられる西口文也投手と、大本塁打王の中村剛也選手も調整しています。西口投手は去年の中盤から右肩を痛めて戦列を離れてしまいましたが、今のところはすこぶる順調そうであり、この日のブルペンではキャッチャーを座らせて89球も投げ込みました。コントロールの精度が抜群で、ブルペン捕手の田原さんのミットがほとんど動くことなく、ビシバシと気持ち良く収まっていたのが印象的です。再び2ケタ勝利を目指せそうな雰囲気にて、安心しました。

 去年の秋に左ヒザの手術をした中村選手はまだリハビリの最中で、本格的な練習はまだ出来ない様子です。しかし、内野手の練習現場に顔を出してハッパをかけられるなど、精神的にチームを引っ張ろうとする意気込みを感じさせました。気力は充実している様子なので、焦らずジックリと治してくれることでしょう。中村選手の場合、シーズンの3分の2もあれば本塁打王を十分狙えるので、我々ファンも焦らずに復活を待ちましょう。

<取材・文・撮影/マリオ高野>




おすすめ記事