旧日本軍の戦闘機の名前を冠する大学発アイドルを直撃
芸能界を目指す学生のために、西日本短大が開設したメディア・プロモーション学科が今春1期生を輩出し、メディアに報じられたことから多くの話題を呼んでいる。
同学科では学生同士がアイドルユニットを組んで活動中。AKB48を頂点とする“アイドル戦国時代”に殴り込みをかけた格好だ。少子化が進むなか、生き残りをかけた大学の経営戦略と見る向きもあるが、「日本初」の試みは世間の耳目を集め、ひとまずは成功を収めたと言っていいだろう。ところが、思わぬところから疑問の声が上がったのだ。
学生によるアイドルユニットの名前は「烈風」と「晴嵐」。今ドキの女のコのユニット名としては違和感が……。すぐさま反応したネット上には書き込みが相次いだ。「烈風と晴嵐って、旧日本軍の戦闘機の名称だろ。なんでこの名前つけたんだ?」「アイドル養成学科つくった人って民族派右翼らしい」「右翼アイドルかよw」……etc。
確かに、烈風も晴嵐も旧日本海軍の戦闘機。そして、アイドルを養成する学科の長である牛嶋徳太朗教授は、生粋のファシストとして知られる民族派右翼の思想家だ。なぜ、右翼がアイドルを養成するのか……取材班は現地へ飛んだ。
福岡市の西日本短大を訪れると、教室に大音量のダンスミュージックが流れ、中央に設置されたランウェーを揃いの衣装を身に着けたアイドルの卵たちが闊歩する。
「腕を振ることを意識して!」「もっと笑顔で歩こう」と現役モデルの講師が指導する授業「メディア表現演習」の真っ最中だった。
同学科に所属するのは、1年生18人、2年生12人。そして今春入学予定の10人のうち3人の新入生も参加。短大生とはいえ、ついこの前までは女子高生。他愛のない話に歓声が上がり、微笑ましい限り。とても右翼には見えないが、3代目となる烈風と晴嵐の2組のアイドルに話を聞いた。
――自分たちのユニット名の由来は知っていますか?
「はい。戦闘機の名前ですよね。初めてユニットの名を告げられたときは、全然アイドルっぽくないし、なんで漢字2文字なの!?って思って。別に私たちヤンキーじゃないし(笑)、戸惑いました」
「そうそう。そもそも『烈風(れっぷう)』は読めたけど、『晴嵐(せいらん)』なんて読めなかったし……。名前を書くときも、画数が多くて大変なんですよ(苦笑)」
「どうせなら、先生(牛嶋教授)の話によく出てくる『桜花』がよかったなぁ。可愛いし! 『銀河』もカッコよくていいな」
――あの……「桜花」は太平洋戦争末期、“人間爆弾”の異名をとった特攻飛行機なんですけど……。
「えっ!? そうなんですか……知らなかったとはいえ、勘違いなこと言ってごめんなさい」
――戦闘機の名前のユニット名で、今後もアイドル活動を続けることに抵抗はありませんか?
「う~ん……最初は抵抗があったけど、もう慣れました。与えられた名前ですし。それに、自分たちで名付けようとすると、なかなか決まりそうにないですしね」
――ネット上では、あなたたちは「右翼アイドル」と呼ばれているのを知ってますか?
「……ええ。でも、右翼がどういう意味なのかきちんとはわからず、いろいろ調べました。ちゃんとわかるまでは、誤解していました(苦笑)」
3/18発売の週刊SPA!「右翼がアイドル売り出しの何故?」では、民族派右翼の思想家はなぜアイドルをプロデュースし始めたのか? 牛嶋教授を直撃。その真意を探っている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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