スポーツ

WBC日本応援団の稲葉ジャンプに米メディア「?」

WBC,サンフランシスコ・ジャイアンツ,ルー・シール

地元サンフランシスコ・ジャイアンツのマスコット、ルー・シールも盛り上げにひと役買った。まわしを締め、侍の出で立ちの日本人ファンと相撲を取った

 第3回WBCは、カリブ海の雄、ドミニカ共和国の全勝優勝で幕を閉じた。日本代表は惜しくも3連覇を逃したが、サンフランシスコでの準決勝には日本からも多くのファンが足を運び、また対戦相手のプエルトリコでも視聴率74%を記録する驚異的な盛り上がりを見せた。

 そんな盛り上がりに水を刺したのが、開催国アメリカのメディアとファンだ。

 日本が敗退した翌日18日の地元紙『サンフランシスコ・クロニカル』は、日本対プエルトリコの試合をスポーツ欄の一面で紹介したが、その見出しは「Party at the ballpark(野球場でのお祭り)」。記事は、試合内容や戦評についてはほどほどに、両軍のお国柄が出た応援スタイルをクローズアップしていた。日の丸が描かれた大きな扇子を掲げて応援する日本人ファンの写真を掲載し、鳴り物応援と稲葉ジャンプを紹介するなど、ややシニカルな論調で両軍の一戦を報じた。

 現地のアナウンスも不思議だった。試合序盤からしばらく英語でのアナウンスがなく、日本チームは日本語、プエルトリコはスペイン語のみの”気を利かせた”アナウンス。しかしその日本語のアナウンスが、なぜか外国人の片言風の日本語。指名打者で出場していた井端を「ダイダ、イバタ」と紹介するシーンも。この謎の場内アナウンスは日本人ファンの失笑を誘い、一方で地元ファン、メディアには奇異に映ったのであろう。

 客入り自体も「世界一決定戦」の決勝ラウンドとしては物足りなく、特に準決勝2試合目のオランダ対ドミニカの試合は空席が目立った。決勝も前日になってチケットの値下げが告知され、最安値のチケットは何と5ドル! 早い時期に高値でチケットを買っていた人が大損をこくという、なんともいただけない事態。実際に3日間通しでチケットを買っていた人からは怒りの声を聞いた。

 大幅値下げもあって、観客も物珍しさで観に来ているようなサンフランシスコ・ジャイアンツの帽子を被った地元のファンが多かった。印象的だったのが、プエルトリコの1番打者、アンヘル・パガンが打席に入る度に湧き起こる大歓声。パガンは普段、ここサンフランシスコをホームにするジャイアンツの1番打者としてプレーしており、昨年のワールドシリーズ制覇にも大きく貢献した選手だ。

 逆にドミニカの中軸、ハンリー・ラミレスには大ブーイングが浴びせられた。彼がジャイアンツのライバル、ロサンゼルス・ドジャースの選手であるためだ。ところどころから「Beat LA(ドジャースをやっつけろ)!」の掛け声も聞こえてきた他、ドジャースの帽子を被ったファンがファウルボールをキャッチした際にも周囲のファンは大ブーイングを浴びせたり。こうした光景を見ると、アメリカのスポーツ文化はやはり都市対抗が基本であり、国際大会は中々盛り上がらないのだろう。

WBC

試合終盤になると飛来するカモメの大群。サンフランシスコを舞台として映画を撮ったヒッチコックの『鳥』のような光景に震撼した

 バラマキの甲斐あってか、決勝はそれなりに席が埋まってはいたが、試合を真剣に観ているのは一握りのファンという印象だった。試合が進むにつれて雨が強まると、試合途中ながら多くの観客は球場を後にし、ガラガラになった外野席には食べ残しを狙うカモメの大群が押し寄せた。「世界一決定戦」としては、何とも残念な光景だった。

 母国のプライドを懸けた熱い戦いが繰り広げられた一方で、アメリカでの盛り上がりは今回もまだまだという印象を残して幕を閉じたWBC。徐々に大会の認知度は高まってはいるが、日韓や中南米各国との温度差は依然大きい。次回大会はこの際、決勝ラウンドの開催地をアメリカ以外のどこかに移してみても面白いのではないだろうか? <取材・文・撮影/日刊SPA!WBC特別取材班>

ハッシュタグ




おすすめ記事