原発の温排水とクラゲ大発生は関係があるのか?
現在、日本で稼働している原発は1基もない。これまで、原発を冷やすために取り込んだ海水が温められ、海に放出され続けてきた。ところがこの「温排水」が止まったことで、原発周辺の海域の環境が回復してきているという! 原発停止によって(良い意味で)激変した各地の海の状況をリポートする。
<福井県・若狭湾の原発>
◆クラゲ大発生の漁業被害も激減
若狭湾で50年間漁を続けているベテラン漁師の藤川満喜さんも海の変化を感じている。
「クラゲの大発生に悩まされることが少なくなってきているのが助かるよ。エチゼンクラゲなんかは、1mをゆうに超えるバカデカいやつで重さも200kg以上。その重さで漁網は破られるわ、一番の収入源であるカニも潰されて売り物にならなくなるわで、さんざんな目に遭わされてきたからね。ミズクラゲも気持ち悪いくらい大発生して、ホタルイカ漁などで漁業被害が出ていたけど、最近はそうした被害も少なくなってきているよ」
原発の温排水とクラゲ被害は関係があるのだろうか。京都大学舞鶴水産実験所の益田玲爾所長が解説する。
「クラゲの幼生は温度の高い水を好み、成長が早まります。温排水によってミズクラゲなどの大発生が起こりやすい環境になるとはいえるでしょう。ミズクラゲの毒は弱いのですが、生まれたばかりのイワシやタイなどの仔魚を食べてしまう。一方、エチゼンクラゲ大発生の一番の理由は、発生元の中国近海が生活排水で富栄養化していること、クラゲの幼生を食べる魚が乱獲されたことでしょう。
しかし、原発がエチゼンクラゲを吸い寄せている可能性もあります。高浜原発が稼働中に取水する量は、京都府最大級の河川である由良川が海にそそぐ量の約5倍。膨大な取水で発生する海流によって、クラゲなど遊泳力が弱い生物は引き寄せられてしまうのです」
藤川さんも「以前、原発の取水口を間近で見たとき、海に巨大な渦ができていた」と語る。
「鳴門海峡の大渦潮かと思うくらいの大きさでゾッとしたよ。あれだけの勢いで海水を吸い込んでいれば、何も影響がないわけがない」
益田所長は「原発の温排水が停止してからの変化は想像以上に劇的なものでした」と語る。
「冬を越せずに死んでしまう南方系の魚介類には気の毒ですが、温排水のない海のほうが、健全で望ましい生態系だといえるでしょう」
取材・文・撮影/志葉 玲 足立力也 写真/中野行男 北村土龍 益田玲爾 斎藤武一 鈴木省一(ピースボート)
― 原発止めたら[海の環境がもりもり改善!?]リポート【2】 ―
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