結成25周年の“人間バンド”ロリータ18号を直撃【後編】

 昨年バンド結成25周年を迎えたロリータ18号。バンドブーム、メロコア、エモコアシーンなどの盛り上がりを横目で眺めつつ飄々と独自のスタイルを築き上げてきた彼女たちに改めて自らのルーツやいまのメンバーだからこそ出せる音について訊いてみました。 ⇒【前編】はコチラ ――そうして新しくメンバーが入れ替わって音を出したときに今までと変わったところはありましたか。 ロリータ18号マサヨ:TO-BUちゃんが来てからロリータの技術面が劇的に上がりましたね。昔のメンバーで新曲を作ったときはあみだくじで出す音を決めてたり……なんかジョンゾーンみたいで聞こえはいいですが(笑)、そんな作曲方法でアルバム一枚作ってしまうくらいトリッキーな勢いのあるバンドで……でもTO-BUちゃんが加入したことで、ついに「我々はプロのバンドだ!」と気づいたんです(笑)。そこまでたどり着くのに10年ちょっとかかりました。最初、たこちはTO-BUちゃんによく怒られてたね。 たこち:うは~!リズム隊なのに全然ダメで……。 TO-BU:そう、若干びっくりしました。でも鍛えられて、よくぞ10年ついてきたと(笑)。 マサヨ:アタシとたこちは「ザ・インディーズ、パンク馬鹿一代」的な理論ナシの感性一発型だけど、TO-BUちゃんとKickは譜面が読めて基礎もバッチリあるので、いまのロリータはそこがうまく融合されてるのかな。だから最近の曲が昔と格段に違うのはメンバーそれぞれのエッセンスをちゃんと入れられるようになったことですかね。あとメンバーそれぞれが曲を作れるので、リハーサルで集まるときに曲を持ち寄ってオーディションをするんです。もうKickが入って4年ぐらいになるので、「この曲はいけそうだな」とか「これはちょっと……」というのが大体わかるんですよ、みんな。 TO-BU:でも新曲のジャッジに集まっても、関係のないおしゃべりばっかりしてるうちにスタジオの予約時間が終わってしまうときもあるんですが(笑)まぁみんなで一斉に作ってくるときはかなり深く話しますね、ライブを想定したり。 ――じゃあ以前より曲そのものにかける時間は増えたということですか? 一同:(深く頷いて)そうですねぇ。 マサヨ:若いころはアタシ凄くワンマンな性格だったので前のメンバーにはかなり苦労をかけました……(遠い目)。段々大人になるに従ってそれだといい曲はできないということに気がついて、少しずつみんなの意見が耳に入るようになったのがバンド結成20年目あたりから(笑)。 でもそうやって色んなタイプの曲を作ったとしても、ロリータにとってパンク要素っていうのは絶対になくならないと思う。意図的に排除しない限りは。 ――するといまおっしゃった「パンク要素」とは、具体的にはどういうものなんでしょう。 マサヨ:アタシの場合はコード感とスピード。まぁ主にスリーコードですが。あとはメロディの幅をあまり広げないことかな。昔のメンバーにも「メロディを作らないで」と言ったこともあるぐらいで。KickもTO-BUちゃんもピアノから入ってる人なのでメロディアスな曲はいくらでも作れるんですけど…… TO-BU:でもライブでやらないんだったら作らなくていいじゃんと(笑)。 マサヨ:そう、我々はライブバンドなんでね。 ――今回パンクバーH.O.D.の10周年イベントに出演される皆さんにお話をうかがっているんですが、そのほかに今後の活動の予定などございましたら教えていただけますか。 ロリータ18号マサヨ:去年バンド結成25周年記念のイベントをまあまあ大々的にやったんですけど、なんて言うんですかねぇ……。ホントに申し訳ないんですけど、ちゃんと数えたら今年がほんとの25周年だったみたいなんですよ。なので今年は「25周年リターンズ」みたいな事を秋口にでもやろうかなと。去年はほんとにすいませんでした(笑)。それで早くリリースもしたいのでスタジオにもマメに入るんですが、やっぱりおしゃべりが楽しくてなかなか曲作りが進まない……でも着々と新曲は出来上がっております。 TO-BU:うん、うん、着々とね。 マサヨ:ちょっとずつね。やっております。まあどういう形のリリースになるか今はわからないですけど、ロリータらしい面白い形で出したいなと。で、来年は結成26周年になるので、これを読んでくれているSPA!読者の皆さん、ロリータに何かしてほしいことがあったらホームページにでも連絡ください、やらないかもしれないですが(笑)。 マサヨ:でもね、ほんと楽しいんですよ、バンドって。子供のころ習い事とか何も長く続けられなかったんだけど、でもバンドだけは25年続いた。こんな歳になっても「大人の修学旅行」みたいにワイワイ楽しくやってるとは思わなかった。でもよかった、これで。だからこのメンバーで健康に気をつけながら一日も長くバンドを続けられたらいいなと思ってます……。 一同:(笑)。 TO-BU:そんなおじいちゃんみたいな言い方すんなよ! まだまだ先輩いまっせ。 マサヨ:ゴホゴホ……(笑)。 【ロリータ18号】 石坂マサヨ(うた)、Kick(ギター)、たこち(ベース)、TO-BU(ドラム)の4人からなるパンク・ロック・バンド。1989年に、マサヨがKENZI & THE TRIPSのコピーをやる目的で結成。1997年、忌野清志郎との共同制作曲も収録した3rdアルバム『髭忍者』でメジャーデビュー。バンで50日間43本の全米ツアーを決行。ロリータ18号が出演するパンクフェスイベント「PUNK BAR H.O.D 10th Anniversary Party」(https://www.facebook.com/events/225531607655432/)では、あのラフィンノーズやTHE RYDERSなども参戦。この機会にロリータ18号の魅力を生で味わうべし!! <取材・文/石黒隆之 撮影/山田耕司(本誌) 撮影協力/P.I.Gスタジオ>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
髭忍者

忌野清志郎との共同制作曲も収録した3rdアルバム

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