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結成25周年の“人間バンド”ロリータ18号を直撃

 昨年バンド結成25周年を迎えたロリータ18号。バンドブーム、メロコア、エモコアシーンなどの盛り上がりを横目で眺めつつ飄々と独自のスタイルを築き上げてきた彼女たちに改めて自らのルーツやいまのメンバーだからこそ出せる音について訊いてみました。 ロリータ18号――すでにロリータのことを知っている人は大勢いるかと思うのですが、最近知ったという人もいるかもしれないので改めてバンドの自己紹介からお願いいたします。 石坂マサヨ(ボーカル):自己紹介というかあの~、念の為に言っておきますが、女性4人のバンドです……前にヤフー!の知恵袋で「ボーカルの方は男性ですか? 女性ですか?」って書かれてたので、念の為(笑)。 一同:(爆笑) マサヨ:でももうガールズでもギャルバンでもないし、ましてやレディースバンドというのもアレなんで、今は性別というカテゴリーを超えて「人間」としてバンドをやっております。 ――わかりました(笑)。では月並みなんですけれども、バンドに目覚めるきっかけになった音楽や影響を受けたミュージシャンについて教えていただけますか? マサヨ:パンクロック~!!!特に大好きなのがラモーンズ、トイ・ドールズ、もちろんセックス・ピストルズ。で、日本だとKENZI & THE TRIPSやラフィンノーズ、スターリンやニューロティカ、あぶらだこなど……もう言い出したらキリがないですがジャパニーズパンクが大好きです。好きなシンガーは忌野清志郎さんと戸川純さん。そもそもロリータ18号はアタシが高校生のときにKENZI & THE TRIPSのコピーバンドをやりたくて結成したんです。なのでKENZIさんの曲はレコードとかCDがなくても頭の中のiPodにすべてインプットされているので無人島に1人漂流しても脳内再生で楽しめますね。それぐらい大好きです。 Kick(ギター):そもそもギターを始めたきっかけが特定のバンドとかミュージシャンの影響じゃなく、楽器として楽しいなというところから入ったんです。なのでロリータに入ってから「これは知っておいて損はない」という最高な作品をメンバーに色々教えてもらいつつ、まだまだ勉強中です。そんな中でもロリータは知ってたので、当時「カラテの先生」にはものすごく衝撃を受けて何回も聴きました! TO-BU(ドラム):私は中1の頃からドラムを叩いていたので、子供のときにテレビで見たレベッカがかっこいいなと思ったんですね。だから最初に好きになったドラマーは小田原豊さんかなぁ。そこから色々と音楽を聴くようになって、一番影響を受けたとなるとチャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)ですね!レッチリのアルバムもかなり聴きこんで、すごく憧れも強いし。前にチャドの横でドラムを叩いたこともあるんですよ!!! 体も心も大きな人で、ほど良く女性好き(笑)。
ロリータ18号

手前から時計回りに、石坂マサヨ(うた)、Kick(ギター)、たこち(ベース)、TO-BU(ドラム)

たこち(ベース):学生の頃、友だちに誘われて尾崎豊のコピーバンドをやったときに(笑)、ベースを初めて触りました。その練習のために通ってたスタジオのお兄さんと仲良くなってライブハウスにも通うようになったんです。そこでニューロティカを知って、日本のインディーズバンドにハマるようになりましたね。もう常日頃から手帳に色んなバンド名をメモするようになって、呪文のように唱えてました(笑)。だからどのバンドというんじゃなくて、雑誌の『宝島』とかを読んでとにかくバンドの名前を知るのが大好きでした。ベーシストとしてはラフィンノーズのPONさんがもう……その存在が宇宙だと思います!!!!! マサヨ:あはは~、でもたこちの頭の中の方が大宇宙だよ!っていうかたこちは宇宙人(笑)。 TO-BU:あ、あとは山下達郎さんもよく聴きます。 マサヨ:そうそう、こないだツアー帰りの機材車の中でライブ盤流してたよね。「え、これめっちゃファンキーだけど誰?」って。そしたら達郎さんだっていうから、「マジで?」と。 たこち:上手だし……。 TO-BU:そりゃそうだろ!(笑) ――そんな様々なバックグラウンドを持った皆さんがどんな経緯で一緒になったんでしょうか。 マサヨ:ロリータはメンバーチェンジが多いバンドで、もうアタシ以外はオリジナルメンバーではないんですけど、たこちとTO-BUちゃんとはもともと友だちだったんです。 TO-BU:焼き肉を食べに行くユニット! たこち:カラオケに行くユニット! マサヨ:前のベースの脱退が決まったときに、なんかもう次のベーシストはたこちの顔しか浮かばなかったのね。その後ドラムのメンバーチェンジのときにも、やっぱりTO-BUちゃんの顔しか浮かばなかった。だけど当時彼女は他にバンドを多く掛け持ちしていたので、口説のが大変だった。今だから言えるけど正式メンバーになってくれるまで8年ぐらいかかったのかなぁ。長かったねぇ。TO-BUちゃんが正式加入を了承してくれたときはアタシとたこちで泣きました。まぁTO-BUちゃんも泣いてたけど(笑)でもみんな音楽うんぬんよりも、人柄のほうが決定打だったね。で、Kickは竹下通りを歩いてるところを「君、いい目をしてるね」ってスカウトしました(笑)。 Kick:「え、ホントですか?」って。 TO-BU:そんでついてきちゃった(笑)。 ――魔の道に引きずり込まれたと。 マサヨ:かわいそうに(笑) ⇒【後編】『新しくメンバーが入れ替わって音を出したとき…』に続く
https://nikkan-spa.jp/667378
ロリータ18号

ロリータ18号は、東北復興のための「南三陸 HOPE FESTIVAL with 烏合の衆」にも毎年参加している

⇒【動画】「YES, PUNK ROCK」http://www.youtube.com/watch?v=bCown53XPNI
⇒【動画】「スパーラー」http://www.youtube.com/watch?v=iIswPSqy5DM
【ロリータ18号】 石坂マサヨ(うた)、Kick(ギター)、たこち(ベース)、TO-BU(ドラム)の4人からなるパンク・ロック・バンド。1989年に、マサヨがKENZI & THE TRIPSのコピーをやる目的で結成。1997年、忌野清志郎との共同制作曲も収録した3rdアルバム『髭忍者』でメジャーデビュー。バンで50日間43本の全米ツアーを決行。ロリータ18号が出演するパンクフェスイベント「PUNK BAR H.O.D 10th Anniversary Party」(https://www.facebook.com/events/225531607655432/)では、あのラフィンノーズやTHE RYDERSなども参戦。この機会にロリータ18号の魅力を生で味わうべし!! <取材・文/石黒隆之 撮影/山田耕司(本誌) 撮影協力/P.I.Gスタジオ>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
髭忍者

忌野清志郎との共同制作曲も収録した3rdアルバム

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