カープを支える「マツダスタジアム」の魅力に他球団ファンも嫉妬!?
昨年のクライマックスシリーズ進出、そして今年はカープ女子ブームなど、広島カープは絶好調である。そんな絶好調の広島カープの秘密はどこにあるのか気になるところだ。難しい野球論は専門誌やスポーツ紙に譲るとして、今回は好調カープを支えるファンが集まるマツダスタジアムについて、考察してみたいと思う。
筆者は生まれは愛知県は名古屋の近く。子どもの頃からのドラゴンズファンを続けること38年という生粋のドラゴンズファンである。筆者にとっての聖地はナゴヤ球場であり、星野仙一氏の言葉を借りるまでもなく、宇宙で一番素晴らしい球場はナゴヤ球場と疑うことはなかった。だが、マツダスタジアムを訪れて正直、衝撃を受けた。この球場をドラゴンズのホームスタジアムにしてくれとすら思ったのであった。
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◆観客を指定席に縛り付けない開放感
メジャーリーグは球場のことをボールパークと呼ぶ。球場自体が一つのエンタテインメントスペースであり、野球を観るだけではなく行くだけで楽しめる様々なアトラクション、ホスピタリティを備えている。こうしたボールパーク的な思考に基づいて作られた球場は、マツダスタジアム以外にもある。東北楽天イーグルスのホームであるクリネックススタジアムもその一つだ。筆者はクリネックススタジアムにも足を運んだことはあるのだが、やはり元々“野球場”であったものを改装しているので、後付け感は否めない。
コンコースを歩いて球場内を一周する。多くの球場では内外野で隔絶されていたり、コンコースでは立ち止まって観戦することができない、またはコンコースからは試合が観られないことがある。だが、マツダスタジアムではほぼ360度、どこからでも試合を観ることが可能だ。自分の座席で観ることに飽きたら、散歩がてらに歩きながら観てもいい。自分の気に入った場所で立ち見をしていいので、観る場所を特定される窮屈感がないことでとても開放感が増すのである。この球場は野球を観に来た観客に選択肢をたくさん用意してくれるのだ。
ここ数年、諸処の問題があって自由席が球場から姿を消す傾向にある。もちろん、マツダスタジアムも指定席が多い。しかし、この立ち見席の開放感によって格段に自由度は高くなっていると感じた。今回、初めて訪れた筆者のような人からすると自分の指定席だけではなくどこからでも好きな角度で試合を楽しめるはとても嬉しく、試合中は球場内を歩いて回るのが楽しくて仕方がなかった。
◆グルメもグッズも超充実
野球好きならば、カープのグッズ戦略を羨ましいと思ったことは一度はあるだろう。カープのグッズはホームベース投げTシャツから始まった、自虐的とも言えるパロディグッズが有名だ。それに加えてここ数年、なぜか12球団のユニフォームを着てしまったカープ坊や、地元動物園などとのコラボグッズなどが加わりその数はかなりのものだ。実際、ホームページで確認してみるとタオル一つとっても何種類もあり、ファンに対する訴求力は非常に高い。グッズの数や種類が増えることでファンの購入意欲をそそらるだけではなく、ファン以外の人が手に取ってみたいと思うグッズが見つかる可能性が高くなるのだ。例えファンでなくともカワイイからという理由で購入する女子や子供はかなりいるのではなかろうか。球場で気に入ったグッズを見つけて購入したら、それがきっかけでファンになることは想像に難くない。筆者もドラゴンズファンでありながら安佐動物園とのコラボTシャツのレッサーパンダがあまりにも可愛かったので、娘に土産で買いそうになったくらいである。
そしてスタジアムと言えばグルメ。先述したようにこのスタジアムはコンコースで一周することができる。そのため、どの席種であってもほぼ全ての売店で買い物ができるのだ。また、売店はチェーン店もあるがそれぞれに趣向を凝らしたものが多い。ビールの種類も1社独占ではなく、あっちはアサヒ、こっちはキリンというように選択肢の幅が広い。これ、些細なことかもしれないけどビール好きからするとものすごく大きなことなのではなかろうか?
フライドポテト一つとっても専門店が一店、ハッシュドポテトを出す店やフィッシュアンドチップスの店などがあり、目移りしてしまうほどだ。
まるでマツダスタジアムの手先のように褒めちぎってしまったのだが、野球に興味がない人ももちろんだが、カープ以外のファンの人は是非一度マツダスタジアムを訪れてみてほしい。球場という存在に対する考え方、野球観戦に対する考え方が変わると思う。そして、きっとこの素晴らしいスタジアムをホームにしている広島カープという球団に嫉妬してしまうはずだ。
<取材・文/長谷川大祐(本誌)>日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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