昼も夜も“ふりかけパスタ”でしのぐ31歳男性に密着――貧困化するアラサー世代の肖像
既婚者が比較的少なく、住宅ローンを抱える人もわずか。そんな理由から、「40~50代に比べ切羽詰まった状態には陥ってない」という印象を持たれがちなアラサー世代。30歳前後と言えば、SPA!読者層からすると「若者たち」ともいえる。だが実際には、若者たちに貧困の影は濃く覆いかぶさっているのだ。
今年6月から郵便局の契約社員として働く今野圭祐さん(仮名・31歳)。埼玉県のアパートから片道1時間かけて通勤する彼の手取り月収は約15万円。ここ5年間、月収20万円を超えたことは一度もない。
「大学後半にうつ病になってしまったのがすべての始まりですね。ようやく就職できたのは25歳のときで、派遣事務でした。ただ、時給がよかったので月収25万円くらいは稼げていたんです。けれど契約更新がなくて、また別の職場を探すことになってしまい……」
リーマン・ショック後の厳しいタイミングでありつけた職は、時給850円の倉庫作業員だった。
「繁忙期で残業が多ければ17万円、一日の最低保証額が5100円なので、ひどい月だと12万円ほどにしかなりません。口座残高が200円になったときもあって、派遣会社の前借り制度を使ってなんとか凌ぎました。昇給なんてないし、蟻地獄のような職場ですよ」
月に自由に使えるお金が3万円もないような苦しい毎日。食事代を節約するために、夜は大量購入した業務用パスタを茹で、ふりかけをかけて食べる。昼も前夜に作ったパスタを弁当箱に詰めて出勤。こんな食生活が1年も続いている。
「まだうつ病も完治していないのですが、通院するお金も節約したいのでネットで個人輸入の薬を買っています。ツラいのは家の近所に歓楽街があること。毎晩、誘惑に駆られるのですが、家に帰ってエロ動画でヌイて我慢してますよ」
ただ、転職した現職では正社員登用の可能性もあるそうで、「正社員になれたときが自分の本当のスタートだと思っている」と話す。
「数年勤めた後に試験に受からなくてはいけないのですが、正社員になれば手取り20万円は無理でも各種手当がついてくる。卑屈にならずに友達と飲みに行けるし、将来は結婚だってしたいんです」
正社員を夢見て、今日もふりかけパスタを食す今野さんだった。
9/2に発売された週刊SPA!に掲載されている特集『30歳前後[若者の貧困化]が止まらない』では、上記のように“食や住まいに困窮したアラサー男”や“体や心を蝕まれたアラサー女”が多数登場。彼らを密着取材することで、もはや社会問題といっても過言ではない「アラサー世代の貧困問題」に肉薄している。彼らの切実すぎる生活を見て、「俺のほうがまだマシ」だと溜飲を下げるのか、何か別の思いが胸にこみ上げてくるのか。アラフォー読者にはとくに、この特集を一読したうえでぜひともそれを確認してほしい。 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
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