規定通りに進んでも放出に20年近くかかる【汚染水処理の現在 vol.3】

10月21日から1号機の建屋カバーの解体に向けた作業を開始した福島第一原発。だが、廃炉に向けた作業は難航。毎日、80億ベクレルの汚染水を垂れ流しているといわれている。どうにもならない汚染水の現状を、SPA!が独占取材!

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◆規定通りに進んでも放出に20年近くかかる

福島第一原発

今回の報道公開では事故を起こした原子炉建屋群周辺にはまったく近づかなかった。写真のように着々と瓦礫の処理は進んでいるようだが……

 東電側は現在、トリチウム除去技術を模索しているが、世界的にも実用的な方法は確立されておらず、短期的に解決のめどが立つ見込みはない。とはいえ、福島第一原発構内は高性能型ALPSの建設などでタンク建設用の土地も次第に不足してくる。たとえリスクを低減したとしても、トリチウムの残る水を保管するには限界があるのだ。

 その意味では政治決断としてALPS処理後のトリチウム残留水を最終的に海に放出するという選択肢が再び浮上してくる。しかし、ここにも壁が立ちはだかる。

「現在、福島第一原発の保安規定では海に放出できるトリチウムの量はベクレル換算で年間22兆ベクレル。ところが現在貯留している汚染水に含まれるトリチウム量は少なく見積もっても約400兆ベクレルです。つまり保安規定通りに事を進めれば、放出だけで20年近くかかることになります。この間も1~3号機で注水冷却を続ける以上、汚染水は発生します。このままでは負のスパイラルに陥ることになります」(フリージャーナリストの村上和巳氏)

福島第一原発 そもそも汚染水は前で述べたように原子炉そのものに損傷があるために発生するのであり、福島第一原発収束作業の本丸はまさにこの点での進展こそが大きなカギを握る。しかし、報道公開時の会見で小野所長は「廃炉作業は、この先やらなければならないこと、収集しなければならない情報もたくさんあり、そう簡単に進むものではない」と見通しの立たなさを吐露している。村上氏も次のように言う。

「今回特徴的だったのは、報道公開が始まって以来、事故を起こした原子炉建屋群周辺にはまったく近づかなかったこと。これは初めてでした。つまり、危険や被曝云々の問題ではなく、その周辺では改めて報道公開するような進展がないということです。現在、4号機では使用済み燃料プールからの燃料棒取り出しが行われており、これは順調に終わりそうですが、それ以降は手を付けにくい難所ばかりが残ります」

 東電の発表では今も福島第一原発構内からは1日推定で2億4000万ベクレルもの放射性物質が外部に放出されているという。しかし、これを止めるどころか、まだまだ一寸先は闇の状態が続いているのだ。

福島第一原発取材・文/SPA!原発問題取材班 取材協力/村上和巳
― 福島第一原発「汚染水が限界を超えている!」【3】 ―




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