中日キャンプメシの伝統を守る「竜ちゃん食堂」にプロの姿を見た
キャンプメシと言う言葉を知っている方はどのくらいいるだろうか。このキャンプメシとは、プロ野球のキャンプの取材に訪れた記者たちに振る舞われる食事のことで、記者は取材申請をすると同時に食券をもらい、昼食時にその食券を使ってランチにありつくことができるのだ。
このキャンプメシ、例えばヤクルトスワローズはヤクルトが飲み放題だったり……というように、ホテルにケータリングをお願いしてビュッフェスタイルにしたり、選手と同じ食堂で食べることができたりとチームによってさまざまな特色があった。しかし、そんなキャンプメシがここ数年、姿を消しつつあるという。
「どの球団も経費削減でどんどんキャンプメシの提供をヤメています。経費削減というのはわかるのですが、さみしいですね。まぁ、ものすごく旨いもんじゃないんですが、キャンプメシ食うと『あ~キャンプ始まったなぁ~』って感じることができたりしたもんです。最近は記者から注文取って有料で弁当を出したり、特番などの取材陣や評論家だけしかキャンプメシは出さないなんて球団が増えてます。これも時代の流れなのかもしれないですけどね……」
と、キャンプメシを懐かしむのはベテラン記者。キャンプから一つの風物詩が消えようとしているのだ。そんな絶滅寸前のキャンプメシだが、記者たちから絶大な支持を集めているキャンプメシがある。それが中日ドラゴンズ北谷キャンプで12年に渡ってキャンプメシを出し続ける竜ちゃん食堂だ。
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記者も昨年のキャンプでビーフオムライスを食べたのだが、おかわりしたくなるくらい旨かった。こんなに旨いのだから、もちろん一般のお客さんも食べてみたいという声が上がるのだが……。
「昨年、一般のお客さんにもお出しするようにしたのですが、報道関係者の方優先なので順番が前後したり並んで待っていたら売り切れたりして、お叱りを受けてしまったのです。今年からは空いている時間に声を掛けて頂き、お出しできるなら一般のお客さんにも出すような形式にしています」
キャンプの練習が昼食休みなる時間は記者たちもこぞって竜ちゃん食堂に行ってしまう。そのため、そうした時間はなかなか一般の方に提供ができないという。時間をずらして報道関係者などが少ないときを見計らって声を掛けてみるといいとのこと。気になるお値段は700~800円。持ち回りのお店によって異なるので、お店の方に聞いてみたほうがいいだろう。
グラウンドでは野球のプロがしのぎを削り、グラウンドの外では食の達人たちが技を競う。竜ちゃん食堂にはこれからも頑張ってもらいたいものである。 <取材・文/SPA!プロ野球キャンプ取材班>
北谷飲食業組合の事務局の方に話を聞いた。
「開店したのは今から12年前ですね。竜ちゃん食堂というお店はないんですが、北谷飲食業組合に加盟しているお店が持ち回りでこの竜ちゃん食堂を出しています。今年は5軒のお店が持ち回りでやってます」
キャンプ中、ずっとお店を出すわけではないので飲食店からするとロスや原価、本業との兼ね合いなどでなかなか出店してくれるお店が少ないのだとか。だが、それでも北谷でキャンプを張るドラゴンズを応援する意味も込めて、竜ちゃん食堂を続けているのだという。
「メニューはカレーやカツ丼といったものから、沖縄食材を使ったものまで幅広いです。それもいろんなお店が持ち回りで開くからメニューに特色が出せるんです。記者の方からも意見を聞きますね。この前はカツ丼のカツが薄い!って怒られちゃったので、厚くしました(苦笑)。こうやって出店するお店はみんな切磋琢磨していますよ」
出店する店同士で味見したり、意見を交換するだけでなく、記者たちに感想を聞いて改良もするという。そしてなんとゴミ箱を見て残されたものを見て不人気な料理や食材を再考したりもするというから驚きだ。こうしたプロ根性の賜物である竜ちゃん食堂のキャンプメシ、もちろんのことながら記者たちからも評判がいい。
「毎年、竜ちゃん食堂のキャンプメシ食うとプロ野球が始まるなって気になります。食堂の人たちもすごくこだわってて、特に旨いと思ったのはビーフオムライス。ビーフカレーにオムレツが載ってるんですよ。あれは本当に旨い」
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