紫雷美央vs紫雷イオ、女子プロレス界の姉妹対決は壮絶なシバキ合いで決着【M.I.O新宿FACEリポート】<後編>
去る2月14日、ユニオンプロレス、OZアカデミー、アイスリボン、プロレスリングWAVEの4団体合同興行「M.I.O」が、新宿FACEにて超満員札止めとなる509人の観衆の中で行われた。
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試合後の控室では、いつも以上に饒舌に語る妹のイオの姿が。スッキリとしたその表情からは、安堵の色も伺える。
「試合が始まるまで、“どんな試合になるかわからない”ってずっと言っていたんですけど……もっと全然何もできなくて、歯がゆい思いをして終わるのかなとも思ったんですけど、思ったよりぶつかれて、反響もすごくて。お客さんたちの顔を見て本当に思ったのは、私がやってきた3年間も、美央がやってきた3年間も間違いじゃなかったんだなって。今日、この新宿FACEで試合をしてよかったと思います。いろいろすれ違いがあって、難しい時期もあって、家族にしかわからないいろんな思いがあって、“埋まらないかな?”って思っていたんですけど、やっぱり最後に救ってくれるのはプロレスだなって思いました。紫雷イオ、紫雷美央、そしてお姉ちゃん、妹……たぶん全部どれも本物ですね。何も間違いがないし、全部、素直な思いでやれたと思う」
拳を交えたからこそ、理解し合えたということか。そして、気になる姉妹の今後については「なんでもできると思う」と前向きな姿勢を改めて示した。「ベルトの防衛戦もあるし、団体対抗戦とかも(あるかも)」と、姉・美央が望んでいたような団体の垣根を超える動きも示唆。ただ同時にスターダムは“団体内プロレス”を重要視しているので、誰かれ構わずなあなあで慣れ合っていくのは違うと釘を刺すことも忘れなかった。
それに対して、温度感的には姉・美央のほうがクールな印象。記者団から「紫雷姉妹での継続的なビジネスの可能性はあるのか?」と尋ねられると、「私的には微妙」と回答するにとどまった。「相手がどう出るかだよね。私は1人で動き切って、彼女からあれだけの言葉を引き出したので。私は待ちます」と、スターダム側の動きを慎重に様子見していた。
ともあれ、熱心な女子プロ・ファンのみならず、世間一般からも大きな注目を集めた一戦は、プロレス史に残る名勝負となった。姉妹だからこそわかり合えることもあれば、姉妹だからこそ許せないこともある。プロレスのせいで別れた2人だが、再び合流するきっかけを作ったのもプロレスだった。今後に関しては流動的なことも多いが、“最強の姉妹”がマット界をかき回してくれることは間違いないだろう。 <取材・文/小野田 衛 撮影/丸山剛史>出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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