なぜ売れる? 高額シェーバーの秘密
「4K液晶テレビ」「デジタル一眼レフカメラ」といった黒物家電には、数十万円する高価格帯の機種があり、性能にこだわる人が購入している……ということは誰もが知っているだろう。同様に近年、高価格帯の機種が増加し、それを求めるユーザーも増えているというのが「電気シェーバー」だ。今回は、そんな密かな高額シェーバー人気の理由を探るべく、家電の聖地・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaを訪れた。
シェーバー売り場に到着してまず驚いたのは、その広さと商品の種類の豊富さ。手軽に使えそうな5000円程度の商品から、メタリックなボディがキラキラとした輝きを放つ上位機種まで、数えきれないほどの商品が並んでいて、デザインもそれぞれ個性的である。
「この売場では、下は3000円程度、上は5万円近くまで、幅広い種類のシェーバーを取り揃えています。特に3万円以上の高価格帯の商品については、近年種類が充実してきています。なおシェーバーの買い替えは、使っていた製品のバッテリーの寿命が訪れる5~6年に1回という方が多いので、久しぶりにシェーバー売り場に来られた方は、商品の多さに驚かれるようですね」
そう話すのは同店メンズシェーバー売り場担当の酒井舜一氏。価格に10倍以上の差がある商品もあることから、「高いシェーバーは安いシェーバーと何が違うのか」と聞かれることが多いそうだ。
「高価格帯の機種の特徴は『深剃り』と『肌への優しさ』が両立していることです。たとえば、ブラウンの最新機種『シリーズ9』では、今回新たに『人工知能デュアル連動刃』というテクノロジーが追加されました。『人工知能デュアル連動刃』とは、「くせヒゲキャッチ刃」「極薄リフトアップ刃」の2つのトリマーが連動した新技術のことで、全方位に生えるヒゲを持ち上げカット、根元から確実にヒゲをとらえることで少ないストロークで深剃りできるようになりました。さらにヒゲの濃さに応じて剃る力を変える『ターボ音波テクノロジー』、寝ているヒゲを起こして根本からカットする『ディープキャッチ網刃』機能も備えていて、剃り残しが少ないです。これらの技術によって効率的にヒゲを剃れるので肌への負担も小さく、ヒゲ剃り後の肌にヒリつきなどもほとんどありません」(酒井氏)
その「シリーズ9」は昨年11月に発売になったばかりのため特に注目度が高いそう。最上位機種の9095cc-Cは、同店では販売開始当初は5万円ほどの値段がしたが、発売日だけで10台ほどが売れたとのこと。
「売り場で試し剃りをして、先述の『人工デュアル連動刃』の効果を実感し、その場で購入されていく方も多いですね。本体を購入後、替刃を買いに来たお客様に感想を伺うと、『しっかり剃れて肌に負担がかからない』『ヒゲ剃りの時間が短くなった』と性能に満足されている方も多いです」
なお9095cc-Cは洗浄機付きでお風呂剃りもOK。そのほか9075cc-C、9070cc-Cも洗浄器付きで、9030-s-Cはシェーバー単体のみだ。洗浄器付きの機種は価格がやや上がるが、どのようなメリットがあるのだろうか。
「ヒゲ剃り後のシェーバーを洗浄機に入れて、ボタンを押しておくだけで、次の使用時までに洗浄・乾燥までを自動でしてもらえるのが特徴です。手入れの手間が大きく省けるだけでなく、刃に付着した皮脂やヒゲくずもしっかり除去してくれるので、清潔さを保てるのもメリットですね。また刃を清潔に保てば剃り味も落ちづらく、替刃を交換するスパンも長くなります。コストの面まで考えても、長い目で見れば洗浄機付きのもののほうがお得かもしれませんね」
また、見た目の部分でも銀色に輝く流線型のボディはカッコいい。モノへのこだわりが強い人には、このデザインも刺さっていると言えそうだ。
「シリーズ7に比べるとヘッド部分などは大きくなりましたが、手に持つ部分は細くなり、重量についてはやや軽くなっています。片手で握りながらロックもできたりと、より握りやすく、操作しやすい形になりましたね。使いやすさの面でも高価格帯の機種は優れている点が多いので、電気シェーバーをはじめて使う方にこそオススメしたいですね」
価格に見合った価値をユーザーに提供できれば、高額商品でも売れるという消費トレンドの典型ともいえる高級シェーバー。毎日使うものともなれば、投資を惜しまない人が多いのもうなずけるところである。
<取材・文・撮影/日刊SPA!編集部> ハッシュタグ