23区の空白地帯「江戸川区スタバ上陸説」の真偽は?
「スタバはなくても、スナバ(砂場)はある」――知事にまでそう言わしめた鳥取県には、いよいよ今年の夏にスターバックスが上陸する。全国47都道府県のうち、唯一の「スタバ空白地帯」であった同県に出店するというニュースは反響を呼び、ついにスターバックスは“全国制覇”を達成することとなる。
東京23区にも「スタバ空白地帯」があることを紹介した。それが、荒川区と江戸川区である。そして昨年末、ツイッター上で「江戸川区の小岩にスタバができる!」との噂が流れ、そのツイートは一気に拡散され浸透していった。今や「江戸川区にスターバックスができる」は通説となっていたのだ。
しかし、どこを確認しても公式らしい情報は見つからない……そこで真偽を確かめるべく、スターバックスの広報へ問い合わせてみることにした。
すると、同社広報からは意外な回答が。「社内で確認したところ、4月現在で江戸川区に出店する予定はないですね」とのことだ。ただし「今後も店舗を全国展開していく予定ですし、もちろん江戸川区にも出店する可能性はあります」という。一体どこで、情報が錯綜してしまったのだろうか?
今年2月には、お隣の江東区・清澄白河にブルーボトルコーヒーが日本初上陸をはたした。都内有数のコーヒーカルチャーが根づく街として人々を魅了しているだけに、その羨望がデマとして浸透してしまったのだろうか……。いずれにせよ、噂とは、真偽のわからぬままに広がってゆく恐ろしいものだ。
江戸川区は、23区で一番子どもが多く、公園の面積も断トツの1位である。同区には公園の砂場だって、江戸蕎麦の御三家「砂場」だってあるのに……。もういっそのこと「江戸川区にはスタバはなくても、スナバ(砂場)はある」と、区民のみなさんはネタにしてしまったほうが潔いかもしれない。
ちなみに現在、江戸川区の小岩では某コーヒーチェーンがオープニング店舗スタッフを募集している。
おとなしい荒川区とは対極的に、“スタバ待望論”が渦巻く江戸川区。出店の基準と言われる「地域にニーズがあり、スターバックスらしい空間を提供できる場所があること」の前者は十分に満たしているはずだが、つまりこれは後者が原因ということなのか……。江戸川区民の思いが、スタバに届く日は来るのだろうか。
<取材・文/北村篤裕>
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