“タダ乗り”がうまい!? アップルが時価総額世界一のワケ【後編】

◆マネーな人々 今週の銭格言 【選者】人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏 ◆イヤな奴ほど仕事ができる。“タダ乗り”のうまい会社に乗れ! ←【前編】はこちら  今、僕の手元にあるiPhone4Sを見ると、アップルが開発した技術というのは何もないことが歴然と判明する。デジタルカメラのセンサー、リチウムイオン電池、液晶パネル、CPU、メモリー、タッチパネルなど、こういった基礎技術に関するアップルの貢献は何もない。僕自身、昔は科学者をやっていたからわかるけれど、こういった基礎技術の確立には、世界中の公的な研究機関や大企業の基礎研究所の名もなき技術者や科学者たちによる膨大な作業が必要になる。  ジョブズは人のアイデアを合法的に盗み出し、他社や税金で運営されている研究所が作り出した技術にタダ乗りする天才なのだ。そして何よりアイデアをお金に変えるビジネスの最後の部分に異常にこだわり、それがまた信じられないほどうまかった。他社が価値に気づいていない宝石を次々と収奪していく海賊みたいなアップルという会社は、気づけばIBMやマイクロソフトを抜き、世界一の時価総額になってしまっていたのだ。  ところで、アップルの株価はバブルなのか? 実はそうともいえない。PERで見ると、グーグルは約20倍、アマゾンは約100倍だが、アップルは約14倍。アップルは通信キャリアにiPhone販売ノルマのような無理難題を押しつけながらも、実際に莫大な利益を稼ぎ出しているのだ。  それにしても、Wiiが世界的に大ヒットして一時は時価総額が10兆円以上あった任天堂だが、株価凋落で今や時価総額は約1.6兆円。とてつもない大きな差がついてしまった。そろそろ我らが任天堂にも頑張ってもらいたい。 【今週の数字】 アップルの時価総額 30兆円 トヨタ(9兆円)やNTTドコモ(6兆円)、三菱UFJFG(5兆円)、ソニー(1.7兆円)、任天堂(1.6兆円)など日本の大企業が束になってもアップル一社にかなわない。ちなみにこれは、ギリシャのGDPよりも大きい
任天堂とアップル株価の推移

07年11月に高値をつけた任天堂はその後、下落するばかり。一方のアップルはiPhone3Gの爆発的ヒットを受け、09年頃から急激に株価が上昇。ハッキリと明暗が分かれてしまった

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