漂白剤、食酢は使い方を誤ると猛毒ガスが発生する
―[日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑]―
隣国中国では何らかの物質と物質が反応したと思しき爆発事故が頻発。片や日本でも、ゴミ屋敷から不審火が出たり……。身近なモノでも爆発・発火、毒ガス発生の危険性がないのか探ってみた。
◆生ゴミに漂白剤をふりかけ、ゴミ袋が破裂!
そもそも「混ぜるなキケン」とは、ほとんどの家庭用洗剤に記された表示。これは1987年、徳島の主婦が風呂場のカビ取り掃除の際に酸性洗剤と塩素系漂白剤を混ぜて使用、発生した有毒ガスによって死亡するという事故がきっかけとなり、該当商品に対してこの表示が義務付けられるようになったという。
洗剤をめぐる「混ぜるとキケン」なメカニズムとは。
「ハイターやカビ取り剤など塩素系の洗浄剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムと、サンポールを代表とする酸性タイプの洗浄剤に含まれる塩酸が混ざると、塩素ガスが発生します。塩素ガスは第一次世界大戦中、ドイツ軍によって毒ガス兵器として使用されたほどの猛毒で、呼吸器や目などの組織を破壊する作用があります。匂いはいわゆるカルキ臭と呼ばれる独特の刺激臭が特徴です。このガスが発生すると、眼や鼻、喉に刺激を感じ、そのまま反応が進行すると塩素ガス中毒となって命を落とすことがあるのです」(サイエンス・ライターの川口友万氏)
このように、「混ぜるなキケン」の代名詞は、兵器として使われていたほどの強力な毒ガスを発生させるものなのだ。しかし、同様に塩素ガスを発生させる組み合わせにこんなものもある。
「ゴミ捨ての際に生ゴミの臭いを抑えるために、ゴミに直接漂白剤をふりかけたりする人がいますが、あれはキケンだからやめたほうがいいですね。レモンの搾りカスと漂白剤でやはり塩素ガスが発生して、ゴミ袋を破裂させるということも考えられますから」(防災アドバイザー中沢彰吾氏)
「台所回りの水垢取りなどに食酢を使うことがありますが、その酢の成分が残っているうちに塩素系漂白剤を使い、混ざることで猛毒の塩素ガスが発生、中毒症状を起こした例があります」(日本分析化学専門学校)
エコブームで天然素材を使った掃除が人気だが、天然素材といえども食酢は「酸」。うっかり混ぜないように。
どちらも知らずにやりそうなので注意しよう。
【防災アドバイザー・中沢彰吾氏】
元毎日放送(MBS)アナウンサー、記者。勤務防災・環境をライフワークに、労働問題にも鋭く切り込むジャーナリスト。著書『中高年ブラック派遣』(講談社刊)
ー 日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑 ー
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