ストレスが原因の「全身型冷え性」。放っておくと精神性疾患を引き起こす
「冷え性は女性特有のもの」と思っている人は多いだろうが、最近は“男の隠れ冷え性”も実は増加中。ここでは全国冷え性研究所の所長・山口勝利氏が提示した冷え性の3分類「末端型冷え性」「隠れ低体温冷え性」「全身型冷え性」を参考にしながら、その原因と対策を探っていく。
そして「全身型冷え性」も怖いタイプ。こちらはストレスが原因なのが特徴で、特に男性に多い。
「この冷え性では、全身的な自律神経のトラブルにより、体温調節の機能に異常が生まれているので、精神性の疾患やEDなどに結びつく可能性も高いです。朝昼夜と体温を測ってみて、その変動が1℃以上ある人は、このタイプの冷え性の疑いがあります」(全国冷え症研究所の所長、山口勝利氏)
医師・医療ジャーナリストの森田豊氏は、ストレスと冷えの関係を次のように解説する。
「ストレスで交感神経が高ぶる→血管が収縮する→血流が適正に行き届かなくなる……という流れにより、この冷え性は生まれます。この仕組みは、ペニスの血管が広がらなくなり、勃起不全になるEDと似ているので、EDを併発する可能性が高いわけです」
冷え性への根本的な予防になるのは、やはり生活習慣の改善。「過度な冷房を控える」「首、お腹、足先をよく温める」「体を冷やすものの摂取を控え、体を温める食べ物を積極的に摂る」「運動をする」などが大切だ。
「激しい運動は交感神経を高めてしまうので、『エレベーターを使わず階段を上がる』『軽いストレッチをする』程度と、多めに歩くことを意識するだけでも十分です。それだけでも筋肉量の減少を緩め、交感神経の昂ぶりを抑えることで、冷え性対策になります」(森田氏)
なお「冷え性の人で大きな病気がある場合は、体の冷え以外にも、明らかな異常が心身に表れているはず」(帝京大学医学部准教授、新見正則氏)とのこと。
<全身型冷え性の症状>
体全体、特に体幹部に冷えを感じる
主にストレスに起因する冷え性。男性に多く、本人には自覚症状がない場合も多い。冷えを強く自覚する部位は、うなじ、背中、腰、お腹などの体幹。自律神経の異常により引き起こされる冷え性のため、そのダメージは心身の全般に及ぶことが多く、全身の倦怠感、うつ症状、自律神経失調などが併発することも多い
<原因>
強いストレス、急激な環境の変化、過剰なダイエット
<対策法>
このタイプの冷え性は、ストレスに起因する交感神経の高ぶりなどが要因となり引き起こされる。そのため、副交感神経に働きかけ、リラックス効果を生む習慣を取り入れることが大切。
「まず簡単なのは入浴。自分が心地よいと感じる温度のお風呂に15分~20分程度つかるといいでしょう。半身浴でも全身浴でも、自分の好きな形で構いません。ストレッチや深呼吸もいいですし、ハーブティーを飲んだり、クラシック音楽を聞いたりするのもオススメです」(森田氏)。
「首、お腹、足先などをよく温めることも、やはり大切。室内でのストールの使用や、冷えを感じる場所の乾布摩擦もオススメですね。このタイプの冷えは、早めに対策をしないと年々ひどくなるので特に注意を」(山口氏)
【山口勝利氏】
全国各地に分室を持つ全国冷え症研究所の所長。理学博士、柔道整復師、鍼灸師。冷え症治療の第一人者として各種メディアで活躍中。著書に『冷えた女は、ブスになる。』など
【新見正則氏】
帝京大学医学部准教授。漢方指導医・専門医。労働衛生コンサルタント。セカンドオピニオンのパイオニアで’13年にイグノーベル医学賞を受賞したユニークな実験も有名
【森田 豊氏】
医師・医療ジャーナリスト。現役の医師として、診療に従事するとともに、テレビや雑誌などさまざまなメディアに出演して、病気や医療の問題について解説する
― 秋冬に発症する[男の冷え性]が危ない ―
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『冷えた女は、ブスになる。』 「ブス」と「冷え」の関係に着目して、内臓温度の低下がからだにさまざまな悪影響を起こすことを説き、その対策を紹介する。 |
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