千原ジュニアが心底感心した「実は執念深い甲殻類」の話
千原ジュニアの自室のトイレには一冊の黒いノートがあり、ふと頭に浮かんだことを衝動的に書き殴る習慣があるという。そのノートをもとにジュニアの思考をひもとく企画「すなわち、便所は宇宙である」は現在も週刊SPA!本誌で好評連載中だが、その書籍化シリーズ最新作『このたび、便所は宇宙である』が20日に刊行される。
今回はシリーズ最新作の発売を記念してその一部を先行公開。ここでは、カニのおいしいこの季節に「甲殻類」のお話を紹介しよう。
『甲殻類』
ふとね、甲殻類って凄いやつなんじゃないかって思ったんですよ。
まず、ボディ。
甲殻類のボディはめっちゃ硬くて、自分たちをガッチリ守るようにできている。そんだけ守りたいならもう生まれてくるなよ、というくらい守っています。また、なかには両腕に武器を備えて生まれてくるやつもいます。
そして世の中には、甲殻類アレルギーの人がたくさんいます。これも、甲殻類の執念深さというか。「食され命を絶たれても、ただでは死なへんぞ」という復讐です。
しかしエビやカニはおいしいですから、甲殻類が大好きだという人がたくさんいます。甲殻類は「どうぞ、我々の種族をいっぱい食べてください」と誘い、結果、風が吹いても痛いといわれる“痛風”に持っていくのです。
この執念、この憎念たるや。
『さるかに合戦』という昔話があります。親を殺された子ガニがサルを殺すという話で、これも甲殻類の復讐劇となっています。
また、ヤシガニという甲殻類のボスみたいなやつがいます。殻はめちゃくちゃ硬く、1発で指をいかれるようなごついハサミ。それだけ武装しても人間に捕られ、高級食材として珍重されています。しかしヤシガニは雑食で、その昔土葬だった沖縄では人間をも食べていたという説があります。ですから、ヤシガニからすれば、人間に対して「それをお前らは、回りまわって食うてんねん」ということになります。
そして、人が人を食べることを「カニバリズム」と言います。……もしかしたら、カニはすべてわかってるんじゃないでしょうか。くしくも“解ってる虫”と書いて「蟹」になりますから。
アイヒマンという、ナチス政権時代の軍人がいました。物凄い数のユダヤ人を虐殺し、最後は裁判にかけられ、死刑に。処刑台の上で「最後に言い残すことは?」と尋ねられ、こう答えたそうです。
「ユダヤ教に改宗させてくれ」
最後の最後に反省でもしたのか?と再び問われたアイヒマン。しかし彼はこう返します。
「これでまたひとり、ユダヤ人が殺せる」
つまり自分がユダヤ人となり、 自らの死をもって 「もうひとりユダヤ人を殺せる」 と言ったのです。甲殻類の話をしていたら、このエピソードを思い出してしまいました。
果たして人間と甲殻類、最後はどちらが勝つのでしょうか。もしかすると、地球の最後の最後、甲殻類がピースしているかもしれません(笑)。
20日に発売される『このたび、便所は宇宙である』にはこのようなお話が100本収録。また、単行本だけの特別付録である「東野幸治との連れション対談」も掲載。「結婚できない男」と言われ続けた千原ジュニアの独身→新婚時代の「知られざる変遷」がすべてこの一冊に詰まっています。
最新刊『これてに、便所は宇宙である』の先行発売記念企画として、19日(日曜日)16時30分から紀伊國屋書店新宿本店8階イベントスペースにてサイン会を開催。詳細は以下の通り。
『これにて、便所は宇宙である』 千原ジュニアがトイレで思いついた言葉を書き留め、その内容を語り下ろすという連載を加筆修正したシリーズ第6作にして最終巻。板尾創路との「連れション対談」も完全収録。 |
『このたび、便所は宇宙である』 書籍化第5弾。「結婚できない男」と言われた人気芸人の独身⇒新婚の日々を一挙収録している。特別付録は東野幸治との“連れション対談” |
『はなはだ、便所は宇宙である』 不惑の胸中 シリーズ第四弾 |
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