夏の甲子園、「ドリームシート」導入で一変したバックネット裏の風景【第98回・高校野球】
ベスト8が出揃った、夏の風物詩とも言える「第98回全国高校野球選手権大会」では、今年からバックネット裏の風景が一変した。そこから「8号門クラブ」の姿は消え、3月に開催された選抜高校野球大会から、軟式野球チームに所属する小中学生たちが観戦する「ドリームシート」が導入されたのだ。
「8号門クラブ」を取り巻く一連の騒動があったことは記憶に新しいが、高野連の竹中事務局長は「そこは関係なく、あくまでも子供たちのため」と述べている。
「ドリームシート」の対象は現在、全日本軟式野球連盟に加盟する近畿2府4県の小中学生チームで、各試合ごとに入れ替えて観戦してもらう方針。少年野球チームの無料招待は春夏合わせても今年が初の試みで、バックネット裏の水色シートに行儀よく座る子供たちに、いつもと違う感覚を覚えた視聴者は多いだろう。
そして、昨年までバックネット裏でラガーシャツを着用して観戦してきた「ラガーさん」こと善養寺隆一さんの新天地は、1999年春から17年間親しんだ「A73」から、少しだけ三塁側の最前列「A84」に。14年から15年には著書を3冊も上梓し、8号門クラブの看板として人気だった「ラガーさん」だが、バックネット裏を同クラブが占拠する“横暴”に対しては、ついに昨年不満が爆発する結果となったのだ。一連の騒動については後述する。
一方で、水色のシートに子供たちが整然と並ぶ姿には、違和感を感じる視聴者も少なくない。招待された子供たちは炎天下のなか、団扇であおいだり飲み物を飲んだりすることもなく、ましてや歓声をあげる様子もまったく見られないことに「お行儀が良すぎる」と不思議に感じる声がネットで広がっているのだ。高校球児ならまだしも、少年野球の子供さえ隣の席のチームメイトと会話をすることなく、姿勢正しく正面を凝視して静かに観戦しているのはどうしてなのか?
日本高校野球連盟は、ドリームシート創設の目的を「少子化の影響などで少年野球人口が減少している。子供たちが臨場感あふれるバックネット裏で間近に高校野球を観戦することでいっそう野球に興味を持ってもらい、野球振興に寄与すること」と説明している。
昨年は阪神甲子園球場のバックネット裏で、高校野球私設ファンクラブの
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