DeNA前球団社長・池田純×全日本柔道監督・井上康生、2人のリーダーに共通する考え方「個人の得より社会の徳」
日本の社会はいま閉そく感に包まれている。だがそんな閉そく感などものともせず、漲る自信を持ってそれを強く打ち破っていこうとするリーダーたちがいる。彼らはまだ若く、エネルギーに満ち溢れ、新しい日本の「空気」をつくろうと日々奮闘をしている。
万年赤字垂れ流しだった横浜DeNAベイスターズの経営を5年間で劇的に変え、『しがみつかない理由』(ポプラ社)を昨年退社直後に出した池田純・前球団社長。リオ五輪で52年ぶり柔道男子で全階級メダルを達成し、先頃そのチーム育成の戦略やリーダー論をテーマとする『改革』(ポプラ社)を著した井上康生全日本柔道男子監督。この二人もまた、紛れもなく日本の新しい「空気」をつくろうとしている気鋭のリーダーである。
そんな二人がこのほどリーダーの使命や役割といったことについて対談をした。プロ野球球団と全日本男子柔道チーム。組織の形態も性格もまったく違うものをそれぞれ率いたリーダーには驚くほど共通する要素がたくさんあった……。
たとえば、彼らが実践しているマネジメントは、「体育会系マネジメント」とは正反対にある。
じつはこの体育会系マネジメントというのは、日本の企業や学校やスポーツ組織において昔から広く当たり前のように行われている管理手法である。この手の管理では、上司や指導者がその絶対的な力を背景に部下や生徒や選手を精神的に支配して指示通りに動かす。そこでは個人的な意思や考えを表明することがあまり歓迎されない。当然そんな環境のなかからは自己責任で行動する個人はなかなか生まれない。
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昨年マスコミで大きく取り上げられた電通の過労死問題も、欧米に比べてうつ病にかかるサラリーマンが異常に多いのも、体育会系マネジメントを遂行する日本的経営がもたらした象徴的な出来事といえる。
体育会系マネジメントは問題点をいろいろ孕んでいるにもかかわらず、多くの日本人は違和感を抱かず、むしろいいものだと思っている。それは現実に体育会系マネジメントによって成果を出した会社や学校やスポーツチームがたくさんあるからだ。
だが、体育会系マネジメントによって継続的に成果を出し続けることができるかというと、それは違う。ある時期はよくても、いつかひずみが生じ、破たんをきたすことも少なくない。何よりも、そういう体育会系マネジメントを徹底して受けた個人はある程度の結果を出せても、その先の伸びしろが長くなかったりする。
しかし、そんなことはよくよく考えてみれば当たり前のことだ。箱根駅伝で三連覇を果たした青山学院大学の原晋監督がいま注目されているのも、まさに体育会であるにもかかわらず体育会系マネジメントではない方法で弱小集団を見事に無敵の強豪チームに変えてみせたからだ。
2人の気鋭リーダーに共通する考え方とは…
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『しがみつかない理由』 会社にしがみつくことなく、組織に縛られることなく、自分だけの「最強の武器」を手にし、本当にやりたいことを遂げていく新しい生き方・働き方の提案。 |
『改革』 52年ぶりの「全階級メダル」から学ぶ、勝利を導く法則。意識改革、戦略、組織醸成、リーダーの考え方、本番への逆算など、停滞する組織に関わるすべての人へ。 |
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