35歳・年収800万円でも“不幸”な現実――うつ病寸前の過酷労働を強いられる雇われ店長
出世や転職で年収増を目指すのがサラリーマンの本懐。だが、収入が上がったはいいが、激務に忙殺され、家では家族サービスを強いられ、部下からは突き上げを喰らい、やがて体を壊し……という「高収入でもプア」な人々がいるのも事実だ。彼らはなぜ、高収入にも関わらず不幸に陥ってしまうのか。事例をもとに、幸福とカネのバランスを検証する。
…斎藤善之さん(仮名・35歳)/年収800万円/既婚・子供1人
チェーン展開する印刷会社の雇われ店長である斎藤さん。30代半ばで手取り48万~55万円。豊島区に戸建てを持ち一見“勝ち組”だが、「心身共に破滅寸前」と苦しい実情を明かす。
「社員は店長の私一人で、朝から晩まで働きずくめ。明確な一日休みは盆・正月くらいしかありません。残業代が付くので、ギリギリでブラック企業ではないけど疲れが取れずキツくて」
過労から妻に一度転職を相談するも、「生活水準を落とさないならば」と条件を提示され、これが無理難題と断念。
「我が家は住宅ローン、光熱費、保険、交際費などを含め毎月最低でも45万円は必要。30代半ばのただの雇われ店長が、一から異業種は無理で……」
唯一あった求人の風俗店店員は、「妻に真っ向拒否された」という斎藤さん。生活水準を下げられない理由には、“妻の見え”もあると話す。
「一人娘が通う近所の幼稚園は、偶然にも卒園生の半分以上が“小学校お受験”をする名門。一流企業に勤める親御さんばかりで、兼業主婦なんておらず、妻もママ友付き合いもあってとにかくカネがかかるんです」
幼稚園の他の子供と同じようにブランド服を着させ、習い事をさせ、送り迎えのためのハイブリッド国産車を買う、まさに“見え消費”のスパイラルに陥った典型だ。
負の消費スパイラルに陥り、うつ病寸前の過酷労働を強いられる雇われ店長
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