更新日:2022年10月01日 00:58
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「あなたに7億円を譲渡したい。善意の申し出です」――“現金譲りますメール”の騙しの手口を関係者が密告

 一攫千金を夢見る者の願望につけ入り、あの手この手でカネを詐取する“情弱ビジネス”。インターネットの普及も相まって情報の選別は困難になり、猛威を振るっている。その代表格ともいえるのが、「現金譲りますメール」だ。 「あなたに7億を譲渡したい。社会奉仕として、善意からの申し出です」  携帯キャリアのメールアドレスに頻繁に届く、高額譲渡系のスパムメール。震災以降、特に目立つようになってきているが、いまだに届く人も多いことだろう。

迷惑メール評論家の羽鳥GO氏提供による「現金譲りますメール」。同一人物から送られ、反応の段階によって最適な煽りを入れてくる

「引っかかる人がいまだにいるからで、1か月に1000万円も利益をあげるグループもある。今後もなくなることはないでしょう」  裏事情を暴露するのは、迷惑メールビジネスに携わる阪井芳樹氏(仮名・43歳)。このありえない申し出に応じた後に待ち受ける地獄について、こう語る。 「譲渡するのは円やドルなど通貨を明記していないことが多く、ポイントと謳うケースが多い。これを現金化するのに何段階ものステップが必要になる、という話になっていきます。初回はシステム手数料で4500円が必要ですよ、と振り込みやすい金額から始まるのですが、要求される金額は徐々に吊り上がっていき、5回目には100万円を超えます。ここまで来るともう引き返せない。苦しくなった被害者が『一部だけでも先に振り込んでくれないか』と言ったら、『では1000万円の手続きに入りますので、期日までに800万円ご入金ください』となる。期待と絶望を交互に味あわせ、有り金を全部巻き上げようとアリ地獄に引き擦り込んでいくのです」  阪井氏が知るグループでは、朝から晩まで“カモ”とのメールのやりとりをする要員がオフィスに詰め、定型文を投げかけ続ける。引っかかるのは、相談相手のいない老人が多いという。 「ファーストコンタクトとなるメールは一斉に数百万通送るので、携帯端末を何十台も毎月用意することもあれば、海外にあるPCを日本から操作して届けるシステムを使うこともある。この辺はキャリアの取り締まりとイタチごっこが続いています。名簿や飛ばしの携帯、他人名義の口座など必要なものはオレオレ詐欺と似てますが、迷惑メールをシノギにするグループとは典型的な半グレ集団というより、もうちょっとギークな印象。万一、逮捕されても量刑が軽くなるよう練り上げられている」 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
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