更新日:2022年10月29日 01:05
仕事

現代はおっさん受難の時代 同情を買うこと以外に道はなし

おっさん同情

おっさん受難の時代。同情を買うこと以外に道なし

 何かと持論を展開したがるおっさん。ただ、おっさんが置かれた状況に目を向けると、印象が少し変わってくる。 「おっさんは今、有史以来最も受難の時代といえます」と語るのは、石原壮一郎氏。 「今のおっさんが若かった頃、自分たちが見てきたおっさんは、年功序列で縦社会が強かったこともあり、仕事のキャリアが長い分だけ尊敬されていました。しかしIT化が急速に進み、今のおっさんは通信手段の発展についていけず、若者のほうが秀でているケースが増えてしまった。さらに寿命が延びたので、50代の上にはさらに70~80代が現役で頑張っている。かつてのおっさんと違い、今ではまだ若輩者なのです。下からは尊敬されないわ、上からは使い走りだわで、実は寂しくて悲しい思いを抱えているんです」  自分の拠りどころを失ったおっさんは自尊心を満たすものを探し求め、「仕事は見て覚えろ」「重要な要件はメールより電話」などの謎ルールで補てんしようとする。 「残ったプライドを守るために自分の考え方や方法に強引に固執してしまうんですね。謎ルールは、変化する時代に対して“もう自分はついていけない”とどこかで悟ってしまったおっさんの防衛本能からつくり出されています。そのため『俺は俺であって、どう見られてもいいや』と悪い方向に開き直ってしまい、客観性が欠けた傲慢なルールができあがるんです」 おっさん 自分を変えられないおっさんの救済措置として、謎ルール以外の方法はないのだろうか。石原氏によると、残された道は同情を買うことくらいだという。 「白い目で見られてばかりですが、いかにおっさんが切なくて悲しい存在かを世間に知ってもらいたい。時代についていけてないし、迷惑も掛けていると思いますが、おっさんなりに頑張っているから許してくれ、せめてイジメないでくれとお願いしたいのです」  おっさんの謎ルールに振り回されないためには、おっさんへの正しい理解が解決の糸口になる。 「同じおっさんから見ても目に余る行為と映ることも多いので、すべてのおっさんに当てはまると思われないようにしたいですね。おっさんなりに開き直らずに頑張っている人もいるから、一人ひとりのおっさんを見てほしい。とはいっても一括りにされるのが現実なので、おっさん側としては、他のおっさんの足を引っ張らないようにしてもらいたい。そういう意味ではおっさん同士で力を合わせなきゃいけないのかもしれません」  おっさんの事情がわかると受け止め方に余裕が出てくるはずだ。 「おっさんをむやみに煙たがるのではなく、おっさんにも多少はかわいげもあるのでは? などと柔らかく捉えてみてください。ピントを合わせずぼんやり観察するくらいがちょうどいいでしょう。優しくしてとは言わないけれど、温かい目で見てもらえたら少し気持ちが楽になるかもしれないし、おっさん側も助かります」  変われないおっさんとうまく付き合っていくには、おっさんの見方を変えることが得策のようだ。 【石原壮一郎氏】 コラムニスト。大人のあり方や素晴らしさを説く「大人力」の第一人者。『大人養成講座』など著書多数。最新刊『SNS地獄を生き抜くオトナ女子の文章作法』(方丈社)も好評! 取材・文/SPA!おっさん生態研究班 ― [おっさんの謎ルール]アリかナシか? ―
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