短期間に2度の退職金で合計3000万円も…外資系企業で見かけるリストラ長者とは?
有効求人倍率は43年9か月ぶりの高水準にあり、完全失業率も2.8%と雇用環境はかつてない好状況にある。一方で、早期退職を促す企業が相次いでいるという。中年社員だけをターゲットにしたリストラはなぜ吹き荒れるのか。巧妙化する手口と内情を追う!
※週刊SPA!12月19日号「会社VS社員 中年の大リストラが始まった!」より
「外資系企業は日系と違ってすぐにクビにできると思われがちですが、そんなことはありません。ローパフォーマーに対し、合理的な理由を説明し、早期退職の勧奨をするという点では同じです」
そう外資系のリストラ事情を語るのは、これまで外資系企業5社で大胆なリストラを手がけ、現在はメーカーで人事部長を務める高井俊朗さん(仮名・52歳)。しかし、数年ごとに転職し、キャリアアップすることが良しとされるなど人材の流動が激しい外資系では、早期退職後の人生も日系のそれとは違う。
「確かに、リストラによる悲壮感は日系に比べて薄いですね。医療・製薬系や金融などいくつかの業種では、むしろ“パッケージ”と呼ばれる退職金をボーナスのように複数回手に入れ、都心にタワマンを購入したなどのリストラ長者が誕生することもあります」
そもそもの給与が高額な外資系企業の退職金は高い。さらに早期退職を促したほうが「会社の利益になる」という風土も強く、退職金が高額になることも珍しくない。
「リストラの場合、給料×支給月数16~18か月が大体の相場ですが、私の知っている中でのマックスは、48ヶ月パッケージ総額8000万円という人がいました。その人は58歳でしたから、普通にしていれば、あと2年で定年退職する人間。それでも、その金額を払って人材の循環を図ろうとするという姿勢は、外資ならではでしょうね。本人は不本意な早期退職ではありながら、金額の面で長者の部類です」
また、外資系ではある分野やサービスで日本がマーケットとして成り立たないと判断されると、突然部署ごと撤退するということがしばしば起こる。
「日系だととりあえず他部署へ異動となるところが、外資だと部署ごと即リストラになる。知り合いに1社目で1500万円ほどの退職金を手に入れて同業種の似た部署にスライド転職したら、行った先も撤退して“短期間で2度リストラに遭った”人がいました。本来なら辛い状況ですが『思いがけず、合計3000万円が懐に転がり込んできて、マンションのローンを完済できた(笑)』と喜んでいましたよ。外資系出身者は会社を渡り歩くことに抵抗があまりありません。だから、リストラ長者が生まれるのです」
実力主義の外資系だからこそ、リストラを受け入れ、そのぶんの退職金はいただく……。終身雇用が崩壊しつつある今、日本企業も、退職金額を上げてほしいものだ。〈取材・文/週刊SPA!編集部〉
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