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卓球で1億円稼げる時代に!? 「Tリーグ」の可能性をチェアマンが熱く語る

松下浩二

松下浩二

 かつてサッカーJリーグ元年の’93年、開幕試合の準備に東奔西走していた川淵三郎チェアマン(当時)は、こんなセリフを言えただろうか。 「我々はすでにドイツのブンデスリーガを超えている」  卓球Tリーグ開幕戦の実施までいよいよ大詰めを迎えた頃、同リーグの松下浩二チェアマンは、取材に胸を張ってそう語った。すでに半世紀以上の歴史を刻むドイツのプロ卓球リーグを、まだ始まってもいない日本のTリーグが超えているとはどういうことか。’97年に当時の世界最高峰だったブンデスリーガに日本人選手として初めて参戦して以来、日本と世界の卓球を見続けてきた男に、今の胸の内を聞いた。

ラケット1本で億を稼げる選手を育てたい

――Tリーグの構想はいつから始まりましたか。 松下:’08年北京五輪に福原愛選手や水谷隼選手が出場して、メダル獲得を期待されていましたが、男子は5位で女子は4位とメダルを逃してしまいました。この結果に卓球関係者は悔しい思いをしたのです。これを受けて、日本卓球協会の常務理事会で「日本卓球界が強くなるためには、プロリーグが必要では」という議論が起きたんです。’10年3月には本格的にプロジェクトチームが立ち上がり、今に至りますので8年近い時間をかけて開幕にこぎつけたわけです。 ――世界の卓球リーグはほとんどがプロリーグだと聞きます。 松下:卓球が強い国の中でプロリーグがないのは日本だけです。ドイツのブンデスリーガは’60年発足ですし、ヨーロッパではほとんどの国にプロ卓球リーグがあります。中国では’00年にスーパーリーグができましたし、韓国は実業団リーグですが実態としてはプロです。 ――現時点で卓球のプロ選手は日本に何人くらいいるんでしょう? 松下:プロ契約の有無にかかわらず、卓球だけで食べている選手は男女合わせて50人程度じゃないでしょうか。これは実業団チームに所属していながら、会社の通常業務はやらずに卓球に専念できる環境にいる選手を含めての数です。 ――それだと卓球好きの子供たちも、「自分は将来卓球でメシを食う」とは思えないですよね。 松下:日本人はお金を稼ぐことよりも、オリンピックや世界選手権で1位になりたいというモチベーションでやっている子供が多い。一方、中国では、最初からお金持ちになりたいという意気込みでやっています。張継科選手は年収12億円と言われていますし、彼以外にも1億や2億を稼ぐプレーヤーはゴロゴロいます。
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