コロナで強まった「家族」の絆。初めて子どもの面倒をみるようになって…
新型コロナウイルスの感染拡大、そして政府や当局がひっきりなしにアナウンスする「外出自粛」により、多くの国民が必要最低限以外の外出を控え、自宅にこもる生活を余儀なくされている。
平日は朝から晩まで会社で働き、家族の顔をほとんど見ないというサラリーマンが一日中自宅にいるせいで、旦那に嫌気がさし「コロナ離婚」を考えているという妻がいるなどと多数のメディアが取り上げたが、そうではないという人たちもいる。
「はっきり言って子どもの勉強を見る、というのはこれが初めてです。妻に任せっきりだった家事も分担するようになり、関係は今までにないほど良好になりました」
こう話すのは都内の大手IT関連会社に勤務する斎藤春人さん(仮名・40代)。3月頭からテレワークに移り、自宅で仕事を行なっているが、家族との結びつきが強くなったと喜ぶ。
「接触が増えたことで、口論をすることも少しは増えた。しかし、この危機を乗り切れば、たぶん以前よりはずっといい環境になる。家族一丸で何かを頑張る、という経験がこれまでは全くありませんでしたから。コロナがくれた思わぬ好影響。専業主婦の妻は、家事分担の空いた時間で資格の勉強までやっている」(斎藤さん)
さらに、これまで会社では絶対に言い訳に使えなかった「家族」というキーワードも、ここにきて「武器」になっていると話すのは、大阪市内の建設系コンサル会社勤務・小日向拓也さん(仮名・40代)だ。
「テレワーク中に、休校中の子どもたちの昼食や夕食をつくる時間が発生するのですが、これを上司が“絶対にそういう時間を設けなさい”と指示してきたのです。はっきり言って、子どもの入学式や体育祭ですら、仕事を休む理由にはならなかったし、そのおかげで子どもや妻からは白い目で見られていましたから」(小日向さん)
家族間の接触が増えたことで、諦めていたことができるようになったと手放しで喜ぶ人も……。こちらは加藤千恵子さん(仮名・30代)の談。
「旦那も私もフルタイム勤務で、自宅に帰れば夕飯をとって入浴して寝る、しかなかったんです。お互いにとても疲れているし、ベッドも別々でした。ただ、二人ともテレワークになってからは、リビングで二人で仕事をしています。なんか付き合っていたときの新鮮な感覚になったというか……。ほぼ諦めていた”子作り”にも、改めてチャレンジしてみようかということになりました」(加藤さん)
生物は危機を感じたとき、子孫を残す行動を取るというが、これも人間の本能なのか。来年あたり、出生率が上昇したり、なんてこともあるのかもしれない。ともあれ、危機に面しても、明るくポジティブに乗り切ろうとしている人々の存在は心強いものだ。<取材・文/森原ドンタコス>
外出自粛・テレワークで家族の結びつきが強まった
コロナが与えた思わぬ好影響?
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