飲食店「協力金バブル」の落とし穴。もう普通の日常には戻れない
いよいよ首都圏に発令されていた緊急事態宣言も解除され、ワクチンの接種も順次進んでいるとなれば、待っているのは「日常の復活」である。多くの人が、コロナ禍以前の日常が再び訪れることを心待ちにしているだろうが、中にはとある理由から不安を覚えている人たちも……。
「夫は昨年の秋以降、ほとんど働いていません。一度店を覗いたんですが、店頭に夫はおらず、結局、別の居酒屋で飲んでいた。バブルに浮かれ、普通の生活が戻っても前のようにちゃんと働いてくれるのか不安です」
こう話すのは、神奈川県内で飲食店を経営する本島祥子さん(仮名・30代)。夫(40代)が両親から引き継いだ居酒屋など数店を夫妻で経営する。当然コロナの煽りを受け、休業や時短要請などに従う形で営業を続けてきた。
だが、夫に危機感はゼロ。昨年から今年にかけ、さまざまな名目で支払われた協力金や補償金のおかげで、もはや以前のように働く気はなさそうだと嘆く。
「夏までは慣れないランチ営業、弁当販売などもやっていました。ですが、夫は協力金が手元に蓄えられるようになってからは、ほとんど店のことをやらなくなった。メインの居酒屋にはたまに顔を出しますが、馴染み客が来ると一緒に飲んで、そのままどこかに行ってしまう。それ以外の店は従業員に任せっきりです」(本島さん、以下同)
飲食店に対する1日6万円の協力金、いわゆる「協力金バブル」に浮かれ、気がゆるんでいるという経営者の話が週刊誌の報道などで漏れ伝わってくる。本島さんの夫は、まさにその急先鋒だった。
役所などへの申請関係、店の通帳は夫が握っているため、本島さんは協力金がいくら入ったのか正確な額はわからないという。だが、その一部、もしくは少なくない額を夫は持ち出し、遊興の限りを尽くしている様子なのだとか。
「夫の羽振りがいいということで、怪しい友人が群がってきているようで。みんなを引き連れて、以前は行かなかったような女性がいるお店に通っていると、知人がこっそり教えてくれたこともありました」
もちろん注意をしているが、夫は「コロナが終われば働く」とぶっきらぼうに言ってみては、すぐにふて寝をするか酒を飲み始める。世間では「コロナ明け」に期待が高まる中、本島さんの精神状態は悪くなる一方なのだ。
「夫は、まるで人が変わってしまったようです。コロナが終息しても普通の生活には戻れないでしょう」
「協力金バブル」に浮かれて…
普通の生活には戻れない
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