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「若いのにパソコンができないなんておかしい」と激怒する上司の理不尽さ

 会社でも家庭でも、旅行先でも……ありとあらゆる分野でデジタル化が進んだ。わずか数年前には「パソコンなんか使いたくない」「若手にやらせておけばよい」とふんぞり返っていた管理職のオジサンたちも、人差し指で慣れないキーボード入力を、たっぷり時間をかけてでも行わないと「仕事をしたとみなされない」というような世の中になった。
パソコン

※写真はイメージです(以下同)

 そんな中、デジタル分野に疎い人たちが、詳しい人たちから見下されるなどの出来事もあちらこちらで発生している。これは「テクノロジーハラスメント」とか「デジタルハラスメント」などと呼ばれるようにもなっているそうだが、特に新入社員や入社数年目の若手社員たちは、真逆の形で「ハラスメント」の洗礼を受けているという。

上司からの「逆デジタルハラスメント」に悩む若手社員

 東京都内の中堅商社勤務、入社5年目の若手社員・松山峻さん(仮名・20代)は憤る。 「入社直後に配属された部署の上司が、新人に向かって“ブラインドタッチもできないのか”と怒鳴り散らすんです。僕は、学生時代に何とか会得していましたが、周囲の知人はパソコンよりスマホ派。タイピングよりもスマホのフリック入力の方が早いと言って、卒論もスマホで書く人がいるほど」(松山さん、以下同)  事あるごとにこうして圧力をかけてくる上司は、若手を集めてこうまくしたてるという。

「若いのにパソコンができないなんておかしい」と激怒

若手社員「若いのにパソコンのこともわからない、なんでうちの会社に入れたんだ、人事部は無能だ、と。実は、この上司だけが悪いのではなく、会社全体にそうした雰囲気があり、エクセルやワードを使う業務、パワポでの資料作成など、デジタルっぽい仕事はすべて若手に投げる。上司は全然残業しないのに、若手は残業ばかりです」  ちなみにこの上司、パソコンのログインで小文字で入力すべきところを大文字で入力していることに気が付かず、何度もエラーを出してアカウントをロックさせ、「何もしていないのにパソコンが壊れた」と大騒ぎをするようなレベルだというから、松山さんたちの気苦労は相当だろう。  だが、松山さんは若手と言っても5年目。さらに若い、右も左もわからない状態の新卒社員たちは、こうしたハラスメントを受け続けることで「自分は無力なんだ」と、本来は感じる必要のない絶望に苛まれているという。
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「パソコンができる=何でもできる」ではないのに
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