「自分と息子の分」しか料理を作らない妻に募る不満…それでも仮面夫婦を続けざるを得ない理由
突然、妻の態度が急変した理由がわからない……とその男性は肩を落とした。大手予備校講師として勤務する、秋山豊氏(仮名・40代)だ。結婚からちょうど10年を数える。
「ここ5年くらいは、話しかけても『んぁ』とか『ぇう』みたいに低く唸るような音を出すだけで、会話になりません。私も話をしたいと思えないので、必要最低限のコミュニケーションしか試みませんが」
もともと教員をしていた秋山氏は、とある中学校の同僚教員として妻と知り合った。妻のイメージは“模範生”。明るく快活な一方で、「こうすべき」という理想を強く持つタイプにもみえたという。
「妻は身内に東大卒が何名もいるような家系で、妻自身も昔から優等生。教員としての総合的な力量もあって、周囲から信頼される人だと思います。思春期の多感な時期を生きる子たちはときにさまざまな問題を起こすことがありますが、たとえばイジメ事件などを速やかに解決したりするなど、保護者からの評判も上々です」
教員として有能な妻は、イジメ対策にも積極的に関わり成果をあげる一方で、家庭内では「まるでイジメの加害者」になっているという。
「妻は料理をしますが、自分と息子の分のみを作ります。私の分は用意されていないので、私はコンビニで買ってきて一緒の食卓につきます」
同じ食卓を囲みながら、ひとりだけがコンビニの惣菜というのは異様な光景だが、そこまでこじれた原点は何だったのか。
「思い返すと、転機は5年ほど前の長男が誕生した時のように思います。まだ教員をしていた私は、妻の出産に合わせて育児休暇を取得しました。育休中は、長男のオムツ替えや沐浴、ミルクなど、自分にできることはやったつもりです。ただ、それは妻が求める水準に達していなかったのでしょう。『このミルク、温度が違う』『沐浴のやり方が下手くそ』と何度も罵倒されました。出産という大変な経験を経て育児をしているため、妻の苛立ちは一時的なものだろうと私は思っていました。周囲でも、産後の一定期間に険悪な雰囲気になったけれども関係性が元通りになった人もいました」
「自分と息子の分」しか料理を作らない妻
育休中に何度も罵倒され…
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ