更新日:2024年01月30日 08:57
恋愛・結婚

「自分と息子の分」しか料理を作らない妻に募る不満…それでも仮面夫婦を続けざるを得ない理由

同棲していたころから「性生活はほとんどない」

家庭内別居

接触しないように掛けられたバスタオル

 だが秋山氏は、それが楽観だったことに徐々に気づき始める。 「妻は、私が干した洗濯物を黙って干し直したり、洗い直すようになりました。私のやり方が間違っているとしたら、『ここが違うから、次回はこうして』と指摘すれば良いと思うのですが、そうしたものも一切なくイライラした様子で敵意を向けてきます。その態度に私の我慢はならず、とうとうキレてしまいました。妻は何も言わずにひたすら黙って、ほとぼりが冷めるのを待っている感じでした。これは、私がキレたときの妻の常套手段です。育休を取ってやれることは頑張ってやろうと思ったのに、何をやってるんだと思いましたね」  秋山氏はきっかけを5年前というが、話を聞けば、より深いところに根っこを見つけることができる。 「私たちは結婚前に同棲を始めましたが、性生活はほとんどありませんでした。私が求めても毎回はぐらかされたり、断られることが続いて、とうとう限界が来た私は話し合いをしました。当時はまだ妻も口を聞いてくれていたので、話し合い自体は可能でした。一応、その場では『する日を曜日で決める』と決着しましたが、それが履行されることはほとんどありませんでしたね

「においが無理」と言われ…

 当時、お互いに30代半ば。人生の岐路に立たされたふたりが選んだのは結婚だった。 「今にして思えばなぜあの状態で結婚したのか、うまく説明がつきません。会話はありましたが、交際当初よりも減っていましたし……。年齢的にも子どもを持つなら何らかの決断をしなければならなかったのかもしれません」  結局、長男は体外受精で授かった。だが不妊治療のための通院中も、どんどん会話は減っていったという。 「色々言われてきたなかで『ひょっとしたら』トリガーかなと思うのは、『休日だからといって、いつも同じような部屋着で居るから、においが無理』という言葉です。私は仕事ではパリッとしていますが、その反面、家庭をやすらぎの場として考えていて、休日の格好について深く考えていません。妻のように一度着たら洗濯して……という“正しい”生活はしていなかったかもしれません。もちろん、衛生面における最低限の配慮はしていたのですが」
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一見、3人でしゃべっているように見えるが…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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