更新日:2024年07月10日 17:28
恋愛・結婚

「就職氷河期で内定ゼロ」も、看護師彼女のヒモに。子ナシ・職歴ナシで25年過ぎた”おじさん主夫”の奇妙な半生

―[奇妙な男女関係]―
 ひと昔前に比べると、その名前を耳にする機会が増えた主夫。それでも共働き夫婦が多いこともあり、家事・育児に専念する男性の割合は少なく、『令和2年国勢調査』によると20~40代の専業主婦は約2.8万人。2000年と比べると、ほぼ3倍に増えているがこの世代の男性全体に占める割合は0.3%にも満たない。  まだまだマイノリティなのが現状だが、村沢裕太さん(仮名・48歳)は内縁の主夫。子供はおらず、大学卒業後の就職経験はゼロという主夫の中でもかなり珍しいケースだ。

彼女からの要望もあり、なし崩し的に主夫となったが……

おじさん主夫

※画像はイメージです。以下同

「就職氷河期で内定がまったく取れなかったんです。当初は派遣社員や契約社員で働くつもりでしたが、付き合っていた看護師の彼女に『だったら家事とかしてくれたほうが助かる』と言われました。落ち込んでた私を慰めるつもりかと思いきや本気だったらしく、それに甘える形で主夫として彼女をサポートすることになりました」  2歳年上の彼女は家事が苦手。一方、村沢さんは両親が共働きだったこともあり、料理や掃除、洗濯などは子供のころから行っていたため、家事に対する抵抗はなかった。ただし、当初はいずれ就職するもりで主夫はあくまで腰掛けのつもりで考えていた。  だが、彼女は正看護師で給料は同年代の会社員の平均月収よりも多かった。大都市圏ではなく家賃や物価の安い地方都市に住んでおり、2人とも散財はせず、お金がかかる趣味もなかったため、わざわざ働きに出なくても生活するには十分だった。 「彼女は夜勤があったので私が就職した場合、互いの生活サイクルがズレてしまうのでそれが避けたかったんでしょうね。事あるごとに『別に働きに出なくてもいいじゃない』と言ってきて、納得しちゃったんです。正直、働きに出るよりもこのまま主夫を続けたほうが自分に合っているかなって。きっとお金を稼ぐ手段としか考えられなかったでしょうし、出世欲もなければ仕事にやりがいを感じるタイプでもありませんでしたから」

義両親との仲は良好だが、実の親とは半絶縁状態に

 しかし、村沢さんの両親は主夫の道を選んだことに大反対。彼女に「息子のことをたぶらかした」と言ったことから半絶縁状態に。いずれも早くに亡くなったこともあり、生きている間に溝が修復されることはなかったそうだ。 「私たちに子供がいればまた違ったかもしれませんが、彼女は不妊体質。私も人より精子の数が少なく、不妊治療を相当頑張らなければ子供は難しい状態でした。彼女も絶対ほしいとまでは思っておらず、何度も話し合って早々に2人で生きていくという選択をしました。でも、私の親族は両親みたいな考えの人が多く、ある意味特殊な自分たちを受け入れてくれるとは考えにくかった。籍を入れずに事実婚の状態を続けているのは、そういう親戚付き合いを避ける意味合いもありました」  とはいえ、義両親や義兄夫婦との関係は良好。義実家には2~3か月に一度は顔を出し、冠婚葬祭では娘婿として親族席を用意されているという。 「すごく理解のある方たちで、私も彼女もそこに救われている部分は大きいですね。今では彼女抜きで私とお義父さん、お義母さんで出かけることもありますから」
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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