利回り10%以上の金融商品「mREIT」のリスクとは?
利回り10%以上とハイリターンの金融商品として、海外の投資家から熱い注目を浴びている「mREIT」。サブプライムローンの不良債権をREIT化した同商品は、日本ではあまり知られていない。いったいどのような商品なのか? 海外投資に詳しい専門家に考察してもらった。
◆為替リスクを加味した運用が必要
「mREITの一番怖いところは、エージェンシー債だけではない銘柄があるということ。下表の銘柄はすべてエージェンシー債で構成されていますが、なかにはノンエージェンシー債(政府未保証)を組み込んで、利回りをより高くしているmREITも見受けられます。そうなると、リスクはどうしても高くなります。現状では、日本語で懇切丁寧に説明しながら販売している業者はありません。英語が苦手で自分自身で調べられない人は、利回りが高いからと安易に手を出さないほうがいいかもしれませんね」(海外投資事情に詳しい玉川陽介氏)
一方インタラクティブ・ブローカーズ証券営業開発部ディレクターの角丸聖樹氏も、mREITのリスクについてこう話す。
「ドル建て決済なので、為替リスクがついて回ります。いくら利回りがいいといっても、購入したときより円高が進めば、その分の利回りが吹き飛ぶことになります。また、金利に左右される商品なので、上昇リスクは常に考えておくべき。金利が上昇すれば、根幹から揺らぎかねない商品ですので、その点は留意しましょう」
現在、FRBは「2015年まで低金利政策を継続する」と宣言。しかし、オバマ大統領の再選で円高への道を進むとする見方もあり、今後の為替相場には注視する必要がある。
レバレッジをかければ利回り30%以上というハイリターンなmREIT。そこには相応のリスクもあると覚悟し、投資する必要はありそうだ。
<主なmREIT銘柄>
●NLY(NYSE)
価格(11/21付):14.66ドル
配当利回り:14.2%
時価総額:140億4300万ドル
時価総額ナンバーワンのmREIT銘柄。年間2ドルの配当があり、現在の配当利回りは14.2%となっている。主に長期のエージェンシー債(政府が元本保証している債券)に投資している
●AGNC(NasdaqGS)
価格(11/21付):31.42ドル
配当利回り:17.4%
時価総額:100億7300万ドル
配当利回りはNLYを凌ぐ17.4%を記録中。アメリカの大手アセットマネジメント会社「ヴァンガード」が機関投資家の中では2番目の保有主。8000億円もの資金を市場調達している巨大REITだ
●HTS(NYSE)
価格(11/21付):26.07ドル
配当利回り:13.1%
時価総額:20億5800万ドル
月初旬の29ドルから一時は25ドルを割り込むなど、ここ最近値動きの激しい銘柄。上記2銘柄と比べ時価総額が1ケタ少なく、変動リスクは大きい。1口当たり年間3.20ドルを配当している
●REM(NYSEArca)
価格(11/21付):13.98ドル
配当利回り:11.55%
時価総額:9億1547万ドル
iSharesのETF。上記のNLY、AGNC、HTSなどほかmREITを何種類も組み合わせることで、リスクを分散。時価総額は少ないが、iSharesのファンドだけにファンドマネジャーからの注目度も高い
取材・文・撮影/愛宕銃壱 写真/時事通信社
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