【40代の貧困】親の介護で出口なし
1/7発売の週刊SPA!では「他人事ではない 40代[新型貧困]の現実」という特集を組んでいる。アベノミクス景気の裏側には、一度落ちたら這い上がることのできない[現実]があることも直視したい。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
「このままいけば、人生設計できると思いましたね。でも、人生一寸先は闇ですよ」と打ちひしがれるのは、3年前に非正規雇用になった水谷雅和さん(仮名・44歳・年収250万円)。
「’03年に勤務先の事業撤退もあり、転職することになりました。運よくすぐに転職できたのですが、あいにくの非正規雇用。まだ30代だし大丈夫だろうと、どこか甘く見ていた感はありましたね」
ところが、同時期に母が老人性うつ病になったという。
「当時は父が健在で、母の介護を父がやってくれました。僕は僕で、非正規ながらも両親を養おうと必死に働きましたね」
水谷さんが37歳の‘06年に、正社員として働くチャンスを掴むことに成功したという。
「これで自分の人生も少しは明るいかなと思えましたね。しかし、不測の事態がこれほど連続するなんて……。母の面倒を見ていた父が、’07年に病気で亡くなったんです。しかも、正社員で働いていた会社からは’10年にクビを言い渡され、今はまた非正規で働くことになったんです」
母の介護をしながら仕事をすることになり、フルタイムで働くことができないという。
「介護保険が使える施設だとお金の負担もだいぶ減るんですが、母は『要介護2』と比較的軽度だったことや入所の順番待ちもあり、低コストの施設に入れなかった。仕方なく今は1日に2時間ほど介護ヘルパーさんを呼び、自分で母の面倒を見ています。そのせいで思うように働けず、今の年収は250万円程度でしょうか」
父から相続した自宅の固定資産税が年50万円ほどかかるのも大きな負担だという。水谷さんはこれまで国民年金を納めてこなかったし、退職金もない。しかも独身。
「自分だっていつ寝たきりになるか、孤独死するかわからない。『やっぱり結婚しておけばよかった』って強く思いますね」
ときどき、「介護はしたくない、けど長生きしてほしい」という複雑な気持ちになるという水谷さん。
「でも、おふくろが元気でいてくれることが僕の生きるエネルギー。母が亡くなったとき、どれほどの喪失感に襲われるのか……」
介護ゆえの貧困生活から抜け出せるとき、今よりもっとつらい現実が待っているのかもしれない。
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