都知事選の裏でファシストが原発推進候補(?)をほめごろし【街宣車同乗ルポ】Part3
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◆投票日当日も街宣活動
都知事選投票日である2月9日、朝8時頃。前日の大雪が残り辺り一面真っ白な、ある閑静な住宅街に外山恒一氏の街宣車がゆっくりと現われた。
突如響き渡る、『ルパン三世』のテーマ。そして、外山氏がマイクでしゃべり始める。
「舛添さーん、おはようございます。舛添さん、いらっしゃいますか? 元東京都知事候補、過激派の外山恒一でございます。舛添さん、長い長い闘い、お疲れ様です。舛添さんは今日はゆっくり休まれると聞きました。大変、お疲れなんでしょうね。でも、ご安心ください、舛添さんに代わって、今日も一日中、不肖・この過激派、外山恒一が、舛添さんがこれまでも、そしてこれからも危険な原発を推進してきた、推進していく、ということを都民の皆さんに全力でお伝えして参りますから、舛添さんは安心してお休みください。特に今日は、やはり未来を担う子供たちに舛添さんのことを知っていただこうと、主に都内の公立の小学校、中学校をたくさん回って、舛添さんは原発推進派だと大声で伝えて参りたいと思います。原発再稼働で、スリル溢れる日本を取り戻しましょうね」
なんと、舛添氏の自宅の前で街宣を行ったのだ。これは大迷惑だ。こんなことが許されるのだろうか? しかも、投票日当日に?
だが、外山氏の活動は選挙運動とは無関係。しかも冒頭に書いたように政治団体ではないので、投票日当日も街宣をしても問題ないのだ、と外山氏は主張する。このあとすぐに私服警官に職務質問されたものの、逮捕されることもなく投票所を狙った街宣を続けたらしい。
さて、結局この日は20時を回るとすぐに舛添氏の当確が出たが、外山氏は今回の活動をどのように総括するのだろうか? 再び、20時から行われた集会に参加し、直撃した。
「選挙結果については、舛添さんが我々の力でなんとか当選して、原発推進派としてはうれしい限りです(笑)。まあ、今日まで原発推進派なんでね。我々のおかげときっと舛添さんもわかってくれていると思います(笑)」
なるほど、選挙自体はどのような結果になろうと「外山恒一の勝利」と言えるような構えになっているわけだ。もし舛添氏が落選していたら、それは「ほめごろし」が功を奏したと言うこともできる。だが、実は外山氏は前述したように選挙自体に影響を与えようとはさらさら考えていない。
「今回の『ほめごろし』キャンペーンは、一般からの参加者を募集しましたが、さすがに東京だと『一緒に乗りたい』という人が多くいました。開始してから3日目ぐらいから2人ずつぐらいの参加者が同乗してきて、後半に入ってからは毎日定員(6人)ギリギリ。入れ替えなきゃいけないぐらい乗っていたので、『ほめごろし』を体験していただいて個別の活動に移ってもらうという面では成功しました」
実際に、外山氏たちとは別に、新宿や原宿などで、路上でメガホンを使って歩きながら同様のアピールをした人たちも現われたという。外山氏は次のような言葉でインタビューを締めくくった。
「多分、僕はもう『ほめごろし』をやらないので、僕がやらなくても皆さん勝手にやってください(笑)」
<写真提供/秋山理央 取材・文/織田曜一郎(本誌)>
― 街宣車同乗ルポ【3】 ―
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