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都知事選の裏でファシストが原発推進候補(?)をほめごろし【街宣車同乗ルポ】

外山恒一

街宣車上の外山恒一氏(撮影日2014年1月23日) 写真提供/秋山理央氏

「こんな国もう滅ぼそう原発で 原発推進派(舛添&田母上)ほめご(※)大絶賛キャンペーン by元東京都知事候補 外山恒一」(※正しくは「ほめご」に取り消し線)  黒地に白い文字でそう書かれた看板を車上に掲げた白いバンが、この2週間、タイマーズの「原発賛成音頭」を流しながら、「我々テロリストの標的である原発を奪わないでください。我々は原発推進派候補を勝手に応援します」と過激な街宣をしてまわっていたのをご存じだろうか? 昨日、舛添要一新都知事の誕生で幕を閉じた東京都知事選では各陣営が苛烈な選挙戦を繰り広げていたが、その裏で、この謎のキャンペーンを行っていたのは、活動家・政治結社九州ファシスト党「我々団」臨時総統・前衛芸術家・文筆家・元東京都知事候補などさまざまな肩書を持つ外山恒一氏(43歳)だ。2007年の東京都知事選の政見放送で政府転覆を訴えたことで一躍有名になった人物で、今は自らをファシストと名乗っている。
街宣車

街宣車の外観(撮影日2014年1月23日)写真提供/秋山理央氏

 だが、外山氏は普段は一貫して反原発の立場を取っている。高校時代に反管理教育運動をきっかけに政治に目覚めた頃にチェルノブイリ事故があり、当時日本で盛り上がった反原発運動の影響を受けたのだという。 「去年の参院選と、今回の都知事選のとき以外は反原発です」と笑う外山氏だが、実は外山氏が選挙戦のときに、勝手に原発をテーマに街宣して回るのは今回が3回目。一番最初は2012年12月、自民党が圧勝した衆院選のときに九州各地の原発推進候補をショパンの「葬送行進曲」を大音量で流しながら追い回し、「原発を選挙戦の争点にしましょう」、「前を走っている人は原発推進派です」と告知していくという「原発推進派懲罰遠征」を決行した。  選挙妨害で捕まりそうな話だが、当時の外山氏のツイッターによれば「逮捕覚悟」でありながらも、「相手の演説の邪魔にならない音量で、ただ相手が原発推進派という事実を告知しているだけ」というやり方で直接的な反原発の意思表示をしていたのだ。ちなみに、公選法上は選挙管理委員会に政治団体として登録していると、選挙期間中は街宣ができないが、外山氏は「九州ファシスト党」という政党を率いているものの、政治団体としての届け出をしていないので、「プロレスやキャバクラの宣伝カーと同じ扱い」(外山氏)なのだそうだ。
早稲田大学

早稲田大学の大隈講堂前を街宣(撮影日2014年1月23日) 写真提供/秋山理央氏

 ところが、昨年7~8月の参院選で外山氏は「選挙戦の期間限定で原発推進派に転向する」と宣言し、「自民党ほめご…いや大絶賛キャンペーン」と称して、今回と同様の「ほめごろし」を新潟、仙台、札幌などで行った。 「僕は同じことを何回も繰り返すのは好きではないので、2012年の『原発推進派懲罰遠征』で選挙戦中の街宣という活動は終えるつもりだったんですけど、ある右翼青年から『右翼の世界には“ほめごろし”という手法もあって、それも違法じゃないんですよ』という話を聞いて、それは目新しい、だったらやってみようか、と(笑)」(外山氏)  だが、同じことを繰り返すのが嫌いな外山氏が、なぜ今回の都知事選は前回の参院選での街宣と同じ活動をしているのだろうか? 「ほめごろしも前回の参院選でやってしまったので、今回はまったくやる気はなかったんですよ。ところが、都知事選が“小泉マジック”により、3.11以降、初めて選挙で原発が主要な争点のひとつになった。それを見て、やってもいいかなと思ったのと、もう一つは同じことをやるんだったら、街宣の参加者を一般から募って、ほめごろしを体験してもらおうと。その人たちが味をしめて(笑)、今後、僕がやらなくてもその人たちが勝手にやってくれるようになるっていうのを一番期待しているんですよね」(外山氏) ⇒【動画】カメラマン・秋山理央氏による街宣初日の模様(http://www.youtube.com/watch?v=jPiSBqhR_SQ
※【Part2】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/586203 <写真提供/秋山理央 取材・文/織田曜一郎(本誌)> ― 街宣車同乗ルポ【1】 ―
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