朝鮮半島有事、李英和氏の優れた情勢判断(1)――飛躍的な北朝鮮のミサイル開発

「北極星2型」の打ち上げ成功と量産指示の報道(産経新聞、5月23日)

金正恩委員長は緻密で侮れない指導者


 北朝鮮は5月22日(日)夕方、中距離弾道ミサイル「北極星2型」の発射実験を成功させた。今年に入り、すでに8回目のミサイル発射である。昨年1年間のミサイル発射が5回であることを考えれば、飛躍的にミサイル開発が進んでいることがうかがえる。

 その1週間前の5月14日(日)早朝には、新型弾道ミサイル「火星12型」の発射実験を成功させている。とりわけこの14日のミサイルは、発射角度を高くすることにより落下速度を上げ、迎撃を難しくする「ロフテッド軌道」で発射された。北朝鮮のミサイルは刻々と性能と信頼性を高め、周辺国やアメリカ本土への直接的な脅威が一層、増している。

 朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、5月14日には「米国とその追随勢力が正しい選択をする時まで……必要な実験準備をいっそう推し進めるべきだ」という命令を下した。さらに5月22日の成功を受け、「今や早期に大量生産し軍に配備しなければならない」と指示し、「わが国の核戦力の多様化、高度化をさらに進めるべきだ」と強調した。緻密な判断をしており、侮れない指導者である。

 アメリカが、原子力空母カール・ビンソンに加え、ロナルド・レーガンを米軍横須賀基地から朝鮮半島に向け出航させている最中の発射実験であり、国際社会の制裁や圧力を「何するものぞ」と跳ね返し、逆に国威発揚を行っている。朝鮮半島有事の可能性が予断ならざる状況になったと言える。

脅威の度合い=軍事的能力×攻撃意思


 こうした中、北朝鮮をどう分析し対応すべきなのか。

 関西大学経済学部教授(北朝鮮社会経済論専攻)の李英和(リ・ヨンファ。1954年生まれ)氏は、北朝鮮分析に秀でた一人である。

 彼は、4月26日、参議院の国際経済・外交に関する調査会(会長・鴻池祥肇)に参考人にとして呼ばれ意見を述べたが、その分析と対応の指針は優れたものだった。

 北朝鮮が保有している小型核弾頭は、すでに20発保有していると述べた。

 その根拠は、次の通りである。1991年にソ連が崩壊し、北朝鮮はウクライナ、カザフスタンから核弾頭を5発入手した。それをモデルにし、さらに核兵器開発に従事していたソ連の研究者が失職したため雇い入れ、以来、25年に渡り研究開発を行ってきたため、小型核弾頭の信頼性も高い……という指摘である。

 また、このまま推移すれば、3年後の2020年には50発を保有すると予測した。

 さらに生物・化学兵器は5000トン保有しており、アメリカとロシアが条約に基づき削減している中で、実質的に世界一の保有量となっていると分析した。

 李教授は、「脅威の度合い=軍事的能力×攻撃意思」であるとして、能力としては、上記したように軍事的能力が高く、また、専門のミサイル部隊、生物・化学兵器部隊を発足させ、即座に発射できる態勢を整えているという。そうなると、あとは独裁者・金正恩委員長の決断(意思)一つとなる。

 こうした李英和氏の分析は、単なる知識ではなく人生経験からにじみ出る説得力があった。彼はいかなる経歴を持っているのか。(続く)

(文責=育鵬社編集部M)





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