異能・異端の元財務官僚が日本を救う(6)――羹に懲りて膾を吹く日銀、角を矯めて牛を殺す財務省

取材に答える高橋洋一氏

金融政策が理解できなかった官僚や政治家たち


 高橋洋一氏は、近刊『日本を救う最強の経済論』で次のように記している。
 
 現政権は、1990年代からの失われた20年のデフレ克服に成功しつつある。それは、金融政策に対して戦後の歴代首相で初めて正確な理解をして、正しい金融緩和を行った政権だからだ。これは他の政治家が気がつかない中で行われ、さらに言えば今でもほとんどの政治家は理解していない。マスコミを含め国会では、くだらない揚げ足取りやスキャンダルの追求ばかりでなく、こうした歴史を踏まえた骨太の本質的な政策議論を行ってほしい。(あとがきより抜粋)

 高橋氏は、民主党政権時代にも、金融緩和を行いインフレターゲットを設定し失業率を下げる政策提言を行っている。雇用確保の政策は、ヨーロッパなどでは左派政権のお家芸であり、本来ならば民主党こそが取り入れるべきあったが、どこからか横やりが入ったのか、実現されなかった経緯も本書に記されている。結果として4%以上の失業率が放置された。

 それどころか、民主党の歴代総理は、財務省から赤子の手をひねるように洗脳され、財政再建のための消費増税しか頭に入らなかった。

景気の腰を折る消費増税――角を矯めて牛を殺す財務省


 もちろん財政再建は必要であるが、それは長期の課題であり、デフレ不況から脱却し景気を回復することが至上命題の時に、その景気の腰を折る消費増税はナンセンスとなる。

 安倍政権は、2014(平成26)年 4月に消費税率を5%から8%としたが、景気の腰が折れたため、高橋氏はこれを失政と位置付けている。

 安倍首相もその反省に立ち、2017年4月に実施予定であった消費税率の8%から10%に引き上げを2019(平成31)年10月に延期した。

 高橋氏の持論は、消費増税に極めて懐疑的である。いわゆる国の借金は1000兆円を超えているが、他の先進国と比較した場合、日本は巨額な政府資産をもっており、その内、換金可能な金融資産が多くまったく逼迫していないという認識である。消費増税をせずに、景気回復による税収アップで事足りるという判断だ。

 このように高橋氏の近刊本は、バブル対策を誤りその後の失われた20年を体系だって解き明かし、現在のアベノミクスの真髄を明快に綴っている。

 バブルという羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹いた日銀、かたや、消費増税で角(つの)を矯(た)めて牛を殺す財務省の実態がよく分かる。

日本経済の真実を知るために


 本書では、バブル以降の過去から現在までの分析のみならず、世界恐慌から日本を救った高橋是清の経済政策――世界的にはケインズよりも評価されている――を紹介している。

 さらには、人口減少を恐れるな、中国は「中進国の壁」に突き当たるなど、未来の見通しも語っている。

 圧巻は、「戦争を防止すための経済学と地政学」(同書、第六章)だ。これらについては、いずれ紹介したい。

 高給を食(は)み、その高みから経済成長に懐疑的な論評を行う朝日新聞は論外だが、財務省の言いなりになっている全国紙を読んでいても、日本経済の真実は分からない。

 日本経済は、政策さえ間違えなければ、そのポテンシャル(潜在能力)は高い。ビジネスマンのみならず、日銀や財務省といった政策担当者にも虚心に本書を読んでもらいたい。(了)

(文責=育鵬社編集部M)

日本を救う最強の経済論

バブルの対策を誤り、その後の「失われた20年」を系統的に解き明かし、今後のわが国の成長戦略を描いた著者会心の書。




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