進退が窮まった時、こころの静けさを失わずに――こころの温度を1℃あげよう(4)

「陰きわまって陽となる」というエッセイ
進退窮まった時は
本稿の3回目で、「祖先がいて、自分がいて、今の自分は、その祖先と子孫とつながる」という時間軸を紹介した。
ここでは、進退窮まった時の「時間の流れ」を『
こころの温度を1℃あげよう』から紹介してみたい。
「陰きわまって陽となる」
突然、嵐がやってくるように、
思いがけない大きな悲しみや
つらい出来事に遭ったとき、
人は、自分だけが不幸のどん底にいるかのごとく、
もがき、苦しみます。
強い風や雷が響く中で、ジタバタしがちですが、
こんなとき、慌てふためいていると、
とんでもないことをしでかすものです。
嵐は、そう長く続くものではありません。
「陰きわまって、陽となる」と言うように、
明るい陽が射してくるまで、
静かにこころを整えること。
西に沈んだ太陽は、
必ず東から昇ってくるものなのだから。
こころの静けさを失わず、じっとその時を待つこと。
それが何よりも大事です。
(同書190~191ページ)
このページのタイポグラフィー(活字のデザイン)が面白い。
多くの場合、
陰に直面すると⇒慌てて
動き⇒さらに
陰を招く……という悪循環に陥る。
本書では、
陰⇒
静かにこころを整える⇒
陽……という時の流れで、悪循環を断ち切る視点を提示している。
読む人の置かれた状況や人生観で、様々に解釈できる一文だが、要は、不測の事態に直面した時に、いかにして「気力」を保つかが説かれている。
「読書のすすめ」でも推薦図書に
東京都江戸川区で、人生論を中心に良書の品揃えで評判を呼んでいる「読書のすすめ」という書店がある。その経営者であり店長である清水克衛氏は、本書を推薦図書に挙げ以下のように評価している。
東洋哲学でいう「元気」、「勇気」という「気」の概念が益々必要になっています。普通にマスコミ報道だけを見ると、気が枯れてしまう時代の中で、自分なりに「気」をあげようという気がないと、どんどん消耗していくような世の中です。この「1℃あげよう」というのは、ちょっとだけ気をあげようということで、1℃ずつ確実に、こころの温度=「気」を上げるためにピッタリな本。(「
読書のすすめ」より)
(続く)
(文責=育鵬社編集部M)