金正恩政権・崩壊へのカウントダウン(2)――米中露のパワーゲームと習近平主席との会談が焦点

北朝鮮をめぐりパワーゲームを展開する米中ロの各首脳

トランプ大統領は習近平主席を「中国の王」と……


 トランプ大統領のアジア歴訪で、次に注目されるのが日本での北朝鮮拉致被害者家族との面会である。

 アメリカの大統領は、日本の北朝鮮拉致被害者家族と2006年4月にブッシュ大統領がホワイトハウスで、2014年4月にオバマ大統領が来日した際にそれぞれ面会しているが、今回の面会は、北朝鮮が国際法を無視し、また国際犯罪を起こすという無法国家、犯罪国家の側面を浮き彫りにするという意義深いものとなるであろう。

 また、トランプ大統領の韓国国会での北朝鮮対策の演説は、北朝鮮を目前にして行われるため、世界的に大きな注目集めることになる。

 そして、最大の注目は、中国での習近平国家主席との会談である。

 トランプ大統領は、習近平主席と4月に米国のフロリダで、7月にはG20サミットのドイツで首脳会談を行い、習主席の要請を受けこの10月18日から24日まで行われた5年に一度の中国共産党大会前の北朝鮮への軍事制裁は控えてきた。

 習近平主席は、共産党大会によって2期目の体制を盤石にし、トランプ大統領から「中国の王」ともてはやされる巨大な権力者となった。

 中国は、国境を接している北朝鮮が米軍に占拠され、自由主義国家になることを非常に恐れている。そのため、米国が軍事制裁を行った場合は、それに呼応して国境から北朝鮮に侵攻する可能性は高いのではないか。

 通常、軍事制裁を効果足らしめるには、地上軍が現地に侵攻して軍事占拠が行われるが、北朝鮮に関して米国は、地上軍による軍事占拠までは考えていないようである。

 逆に中国は、アメリカが軍事制裁に踏み切った場合は北朝鮮に侵攻し、その後も駐留しポスト金正恩政権を樹立するのだろう。北朝鮮の東北部は鉱物資源の宝庫であり、その活用は、中国経済に大きなメリットをもたらす。さらに北朝鮮の安い人件費は魅力となる。

一筋縄でいかないプーチン大統領


 一方、ここで見通せないのがロシアの動きである。7月に行われたドイツでのG20サミットで、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領と初会談を行ったが、北朝鮮に関する認識は不透明なままだ。

 また国連決議に基づき中国を含めた各国が足並みをそろえて北朝鮮に経済制裁を加えている中、ロシアだけが北朝鮮と抜け道的な貿易を行っているとの報道がある。

 ロシアは、北朝鮮の核開発を支援してきた歴史がある。ソ連が崩壊し、多くの核開発研究者が失職したが、その研究者を北朝鮮が雇用した。

 さらに、中国と国境を接しているロシアにとって、北朝鮮を友好国としておくことは、北朝鮮から中国を牽制する意味合いで、戦略的な重要拠点となる。またロシアにとっても、北朝鮮の東北部の鉱山資源は魅力的だ。

 ロシアは世界で孤立している北朝鮮を手助けすれば、その後の関係は盤石になる。

 北朝鮮をめぐる米中露の思惑が、水面下で激しくぶつかり合っている。(続く)

(文責=育鵬社編集部M)





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