食事写真チェック[楽しくなければ闘病じゃない:心臓バイパス手術を克服したテレビマンの回想記(第38話)]

38和写真

「福士さんは飾り寿司のところに『食塩少なめに』と書き込んだ」

塩分は1日6gまで


 退院後、ほぼ2か月に一回、個別に栄養指導を受けてきた。ポイントは塩分と総カロリーのチェック、アルコールの制約等である。

 指導をしてくれるのは慈恵医大病院栄養部の管理栄養士・福士朝子さんである。

 塩は血圧の大敵ということで、1日6g未満と制限された。手術前までは毎日13gくらい摂っていたとのことだから、それを半分以下にする算段をしなければならない。

 福士さんに「ご家族と一緒に聞いてください」といわれ、連れ合いと一緒に福士さんの話を聞いた。

 これはありがたかった。ボクは能書きばかりは一人前だが、料理はからっきし駄目である。その点、連れ合いは料理が好きで、レパートリーも広い。

 現実に彼女が家庭で料理を作るわけだから、減塩料理の何たるかを頭に入れておけばそれなりのものを作ってくれるだろう。

食事写真でチェック


 退院後の栄養指導で福士さんが出した宿題がある。「指導日前3日間の朝昼晩の食事の写真を持参すること」ということだった。

 7月2日、提出した食事写真に福士さんは推定塩分量を書き込んでくれた。会社での昼食がコンビニのおにぎり二つだったとき「総塩分は2gくらいだからいいとしても、いかんせん野菜がない。必ず野菜を取るように」と言われた。

 また、「お酒はだめですか」と聞くと、「ワインをグラス一杯くらいならいいですよ。ただし月一回ですよ」。月一回、ワイングラス一杯……。これは実質的な禁酒の申し渡しではないかと思った。

 次の栄養指導ではやはり昼食が問題だった。前回野菜不足を指摘されていたので、コンビニの「シャキシャキレタス」サンドイッチ(カロリー220Kcal、 Na571mg・塩分約1.5gに相当)を食べるようにしていたが、それでも野菜は不足で、これに無塩トマトジュースを添えると理想に近いといわれた。

 夕食で連れ合いの作った飾り寿司を食べた日があった。福士さんは写真のその部分に「食塩は少なめでお願いします」と書き込んだ。

 別の日の卵とじ汁には「卵なしでいかがでしょう」と書いた。すべて連れ合いに見せ参考にしてもらった。

 何回にわたって細かい指導を受けたので、ボクも全体像が見えてきた。その結論が塩分について、朝2g以下、昼2g以下、晩2gプラスアルファということである。

 朝は大体洋食で、牛乳、ヨーグルト、果物はしっかり摂る。6枚切りトーストは塩分0.7gくらいだから、チーズやハムを食べると総量2gは越えてしまう。

 ヨーグルトにもナトリウムは入っているから塩分に換算される。やむを得ず、トーストを8枚切りのものにした。それで塩分0.2gは減るはずだ。

 次の指導のとき、これを評して福士さんは言った。「塩分だけを見ればこれでいいが、食事にはバランスが必要です。総カロリーを摂るに当っては炭水化物から半分は摂る必要がある。8枚切りではそれが不足します。だから6枚切りに戻しなさい」

果物と間食に問題あり


 こういうヤリトリを通してボクの食生活もブラッシュアップしていくはずだが、残された問題が二つある。

 一つは果物の摂りすぎ、もう一つは間食である。前者についてある朝の写真でバナナとリンゴ2切れがあったが、リンゴ一切れに「×」を付けられ、「トマトにしなさい」と言われた。

 間食についてはどの心臓病対策の本を見ても「よろしくない」と書いてある。福士さんには聞いていない。喫煙しないボクは本を読んでいても、キーボードに向かっていても、何かつまんでいないと落ち着かない。

 さらには塩分にばかり気を取られて、総カロリー不足になり、急激に空腹感に襲われることがある。気持ち悪くなって脂汗が出るような感じだ。低血糖症状らしい。そのためにチョコレートを常時携行している。

未だに食生活に関しては、「あちら立てればこちら立たず」である。

協力:東京慈恵会医科大学附属病院

【境政郎(さかい・まさお)】
1940年中国大連生まれ。1964年フジテレビジョン入社。1972~80年、商品レポーターとして番組出演。2001年常務取締役、05年エフシージー総合研究所社長、12年同会長、16年同相談役。著者に『テレビショッピング事始め』(扶桑社)、『水野成夫の時代 社会運動の闘士がフジサンケイグループを創るまで』(日本工業新聞社)、『「肥後もっこす」かく戦えり 電通創業者光永星郎と激動期の外相内田康哉の時代』(日本工業新聞社)。




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