『孤独のグルメ』原作者の“リアルな一人メシ”に密着「曇ったプラスチックのコップもまた味があっていい」
この年末年始にテレビ東京で大量放映されて、高視聴率をマークした『孤独のグルメ』。2025年1月には映画版の公開や、「孤独のグルメ博」の開催、関連本の出版と相次いで“五郎まつり”の様相だが、それだけ人は「一人メシ」に惹かれるのかもしれない。
では、多忙な職業に就くあの人は、仕事終わりにどんな一人メシを決めているのか?食への隠れたこだわりやいかに? こっそり現場を覗いてきた。
●神田「名代 天亀そば」の春菊天そば
「5~6人入れば満席の店内で、椅子はもちろん、お盆もない。丼で受け取って狭いカウンターで食うだけ。券売機はなく、お店のおばちゃんに現金を渡して蕎麦と交換するスタイル。その立ち食い蕎麦屋での時間が、ここ半年で一番充実した“孤独メシ”でした」
漫画『孤独のグルメ』の作者の久住昌之氏がこう回想する、一人メシの体験がある。
出張のため早朝の新幹線に乗る予定だった久住氏は、都内のビジネスホテルに宿泊した。ホテルのある駅から少しだけ歩いた場所に、ポツンとある立ち食い蕎麦屋が気になり、「明日の朝ご飯はここにしよう!」と決意を固めていた。翌朝の午前6時過ぎ、向かったのは神田駅近くにある「名代 天亀そば」。老舗でありながら24時間営業という特徴ある立ち食い蕎麦屋だ。
色褪せた暖簾をくぐると、醤油とだしの香りに早速食欲が刺激される。店内に食券販売機はない。心地いいチリチリチリ……という揚げ物の音をBGMにカウンターに並んだ各種天ぷらとメニューを見る。何を注文するか迷った挙げ句、最終的に注文したのは、春菊天そばだ。おばちゃんに490円を現金で支払い、春菊天そばを受け取った。
昆布とカツオのだしをベースにした甘めのつゆが葉物の天ぷらとよく合う。温かい汁に、素揚げに近い春菊天を浸すと、黄金色の油が浮いてくる。
店内には七味だけでなくイワシ煮干粉末などもあり、「味変」を楽しむ人もいるようだ。
一杯の蕎麦を完食した後、コップの水を飲み干した。
久住昌之氏(66歳・漫画家)「出されたものをおいしく食べる攻略法を考える」
醤油とだしの香りに食欲が刺激される店内
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