新しくなる食品表示[楽しくなければ闘病じゃない:心臓バイパス手術を克服したテレビマンの回想記(第40話)]

「俄然注目『そうけんくん』」

「俄然注目『そうけんくん』」

塩とは縁を切れ


 病前病後で食材を買う時のチェックポイントが変わった。栄養表示に目が行くようになったのである。

 入院中ボクは塩分の摂りすぎを厳しくチェックされた。「1日6g以下にせよ」というのである。

 健康時のボクの食生活をチェックしてくれた看護婦さんによると、1日13gは摂っていたという。6gということは半分以下だ。「人間は3gでも大丈夫なんですよ」とも言われた。

「塩分とは縁を切れ」とのご沙汰だが、インスタントのソース焼きそば一つでも6gはある。具体的にはどう対応したらよいのか。

 まずは、食品を買うとき、値段より栄養表示を見ることにしたが、これがなかなかわかりにくい。

 ハムなどの畜産物、カマボコなどの水産加工物、惣菜やパン、麺類など多くの表示にはナトリウム〇ⅿgと書いてあるが、食塩相当量〇gなどと書いてあるものもある。もちろんそういう表示のないものもある。

 調べてみると、だいたいナトリウム400mgが食塩相当量1gになる。塩はナトリウムと塩素の化合物だから、ナトリウムに注目して表記してきたのだが、食塩6g以下ということはナトリウム含有量でいえば2400mg以内で抑えよということである。ちなみに世界保健機構(WHO)の食塩摂取ガイドラインによれば、5ℊ未満だ。

 日本人は食塩の摂りすぎと言われて久しい。等しく生活習慣病といっても、アメリカ人は見るからに肥満から来るものが多そうだが、日本人は食塩の摂りすぎから来るものが多いらしい。

 そこが和食の欠陥といわれる。そういう食生活が高血圧症等の引き金となり、心疾患につながる。

新しい栄養表示


 消費者庁は食塩の摂りすぎに注意を向けさせようと、食品表示法を改正して新しい栄養表示の義務付けを急いでいる。2020年には新しい形にするため、法令を整備しているが、現在は移行期間中である。

 それだけにわかりにくい部分があるのは致し方ない。2020年が注目されるのはオリンピックだけではない。

 消費生活コンサルタント森田満樹さんによると、新しい栄養表示では「熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量」の量的表示が義務付けられる。

 特にナトリウムで表示していた部分が明確に「食塩相当量」となるので、わかりやすくなり、アラーム効果も高まるはずという。

 今回の心臓のバイパス手術でボクも相当の医療費を払ったが、国民が新表示で摂取食塩量意識を持つようになったら、膨れ続ける医療費の総量削減につながるという期待もある。

 そういう意味で、表示がわかりやすくなるということは重要なことである。

「そうけんくん」の出番です


 ボクの勤めるエフシージー総合研究所では「そうけんくん」という食品表示システムを商品化している。

 ボクも「事業として面白いね」と賛同して、10年くらい前から取り組んでいるが、ここにきて食品業界や流通業界から俄然注目されるようになり、大手企業に限らず、中小業者や街のお菓子屋さんなどから導入の引き合いが引きも切らない。

 食品表示法の改正が大きな追い風になっていることは言うまでもない。

 ボク自身は元気なときは、食塩の摂りすぎを気にしたこともなく、ましてや個人的なショッピングでも栄養表示について関心を持ったこともない。しかし、心臓バイパス手術を受けてからはそうは言っていられない。

「そうけんくん」の現場担当者はわかりやすい表示を求めて奮闘中である。それをなにより有り難く思う存在が皮肉にもボク自身なのである。

まさに「灯台もと暗し」であった。

協力:東京慈恵会医科大学附属病院

【境政郎(さかい・まさお)】
1940年中国大連生まれ。1964年フジテレビジョン入社。1972~80年、商品レポーターとして番組出演。2001年常務取締役、05年エフシージー総合研究所社長、12年同会長、16年同相談役。著者に『テレビショッピング事始め』(扶桑社)、『水野成夫の時代 社会運動の闘士がフジサンケイグループを創るまで』(日本工業新聞社)、『「肥後もっこす」かく戦えり 電通創業者光永星郎と激動期の外相内田康哉の時代』(日本工業新聞社)。




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