体重をどうコントロールするか[楽しくなければ闘病じゃない:心臓バイパス手術を克服したテレビマンの回想記(第42話)]

「メディウオーク・片時も肌身離さず消費カロリー管理」

「メディウオーク・片時も肌身離さず消費カロリー管理」

体重管理と経営管理は似ている

 退院後注意すべきことの一つに体重コントロールがあった。「これ以上太らないように」といわれたのである。  体重の管理は、企業における「収支と資産」管理に似ている。決められた期間の収支管理で収入が支出より多く、つまり利益が出るとそれは資産に乗せられ、その分資産が増える。  逆に赤字になるとそれは資産から減じられ、資産が減る。赤字状態が続くとどんどん資産が目減りして、それが0以下になると債務超過状態だ。もちろん企業の体力は低下する。  人間の体も同様である。摂取カロリーが消費カロリーを超える状況が続くと、それは資産としての体重の増加につながる。逆に、摂取より消費の方が多い状態が続くと体重は減り、痩せていく。  平常より「1日200キロカロリー減」を1カ月強続けると、減のトータルが7000キロカロリーになり、体重は1キロ減るという。  200キロカロリーというとキャラメル10粒または小さめの大福1個に相当する。この因果は入院中に体験した。  入院した時のボクの病院食は一日1440キロカロリー。それまで、2000キロカロリー以上摂っていたから、1日で約600キロカロリーの減少である。  安静を強いられていたので、運動量も減り、その分消費カロリーも減ったが、生命活動を維持する基礎代謝に要するカロリーはあまり変わらない。そのため10日後には1キロ以上体重減になった。  現実にはあり得ないことだと思うが、1日平均2000キロカロリー摂っていた人が3.5日間、飲まず喰わずの生活をすれば計算上それで体重は1キロ減ることになる。  問題は体重の増減を目論むにあたってどういう方法を採るかということである。食事量や運動量の増減にあることは言うまでもない。

減らない悩み、増えない悩み

 我が家ではボクは体重減を目指し、食事制限を励行し、運動量アップを心がける。しかし、年齢(78歳)的に、資産たる体力が乏しくなっているので運動量アップといっても、限りがある。  資産の乏しい会社が思い切った対応などの無理が効かないことと似ている。だからつらいが、食事量を減らすしかない。  反対に連れ合いは体重増を目指してよく食べるが、なかなか太らない。ボクはうらやましいと思うが、本人は悩みらしい。「食べても身につかないのよね」とぼやきながらよく食べている。見ているとボクの倍くらいは食べている。

スマート歩数計

 入院中、メディウオークという歩数計を持つようになった。単なる歩数計ではなく、1日の運動量を消費カロリーに変換してくれるだけでなく、年齢、性別、身長などを入力しておけば平均的な代謝量も教えてくれる。  中強度レベルの運動(速足に相当)をすれば、どのくらいの分数をこなしたかによって消費カロリーを算出する。おかげで体重コントロールの計数的メカニズムが皮膚感覚でわかるようになった。  しかも、強度の選択ができるようになっており、強い強度に設定しておくと、その分消費カロリーは増加する。  当然、記憶機能もあり、病院の読み取り機にかけると毎日の歩数と、中強度運動の分数がプリントアウトされる。テルモの製品で、値段も少々高めだが、なかなかにスマートな歩数計である。  もちろんバイパス手術後の食事コントロールは総摂取カロリーだけではない。 摂取塩分のコントロール(1日6グラム)も欠かせない。しかし、食べものと運動の関連が読めて、今はこの歩数計が手放せない。 そのロジックは企業における経営管理と全く変わらない。 協力:東京慈恵会医科大学附属病院 【境政郎(さかい・まさお)】 1940年中国大連生まれ。1964年フジテレビジョン入社。1972~80年、商品レポーターとして番組出演。2001年常務取締役、05年エフシージー総合研究所社長、12年同会長、16年同相談役。著者に『テレビショッピング事始め』(扶桑社)、『水野成夫の時代 社会運動の闘士がフジサンケイグループを創るまで』(日本工業新聞社)、『「肥後もっこす」かく戦えり 電通創業者光永星郎と激動期の外相内田康哉の時代』(日本工業新聞社)。
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